片恋いの唄








前回の冒険で得た経験点は、5014点+各自の1ゾロ分でした。
なお、逃げ出したメンバーたちも、(接敵前に)1ラウンド目に敵の咆哮によって逃走し、
ドラゴンとの戦闘行動に直面していますので、経験点は同じです。
ちなみに、フアナはドラゴンとの戦闘で1ゾロを1回出しています。






G   M:それでは、成長申告をどうぞ。

レイディア:厳しいわね。上がらないわ。

トゥエリ :でも、あと1744点デスよ。

フアナ  :……シーフを……5レベルに……。

トゥエリ :前回、強力な接近戦用アイテムが手に入りましたからネ。

G   M:帰ったらギルド幹部決定です。ちなみに、逃げられませんから。

フアナ  :……ううっ……チョバチョブ……。

トゥエリ :ついにファイターが9デスよ。

レイディア:自慢しないでよ。ディースだってすぐに追いつくんだから。

トゥエリ :とほほ……。

マリア  :哀れな奴……。

カトレア :んー。次で10になれるかどうか、ってとこでしょうかねー。

トゥエリ :あくまで最高司祭狙いデスか。

ディース :うっしゃあ! ファイター9だぜ!

トゥエリ :これで、同じレベルの私より強いデスね。

レイディア:そんなこと言わなくても判ってるってば。

トゥエリ :……。

フィーエル:あうー。上がらない。

トゥエリ :ま、そりゃそうでしょうネ。

マリア  :ソーサラーもファイターも上がらんのう。

トゥエリ :レベルがレベルデスからね。






G   M:さて、前回の竜退治では、久々に犠牲が出ました。

ディース :すぐ復活したけどなっ。

G   M:そして、人間関係に劇的な変化が。

ディース :え? 俺が寝てる間になんかあったの?

レイディア:な、なんでもないわよっ!! (……今日、看病してるときに言おう。)

ディース :そう? 話、変わるけどさ、レイディア、なんか優しくなってね?

レイディア:べっ、べっ、別にいつもと変わらないってば!! (話変わってねえよ!)

ディース :そっか? まあいいけど。損はしねーしな。くししし。

G   M:さて、激動の夜から一夜が明けました。
      レイディアはディースを見守ってるうちにぐっすり入眠、
      ディースは起きたら部屋にレイディアがいるんですよね。

トゥエリ :フアナさん、起きてくださいヨ。

フアナ  :……そっか……珍しく、同じ部屋で寝てた……おっはー……。

G   M:提供された部屋が一室ですからね。
      暗に、家に帰りやがれこの放蕩娘、という意味もありましたが。

フアナ  :……知ってたけど、シカト。

G   M:集落は全員エルフなので、熟練の精霊使いも多くて、
      マリアが生物じゃないのバレバレでしたし。

マリア  :エルフの分際で生意気じゃのう。もっと敬わぬか。

トゥエリ :女の子の魔法を解きにいかないといけませんネ。

フアナ  :……めんどい。

マリア  :仕方ないのう。我が行ってやるか。エルフの娘は放っておけ。

フアナ  :……もうちょっと、粘り強く誘って……。

トゥエリ :行きたいんならさっさとしてくださいヨ。

フアナ  :……別に……行きたくはない。眠いし。

マリア  :女の扱いが下手な奴じゃのう。

フアナ  :……行けばいいんでしょ……着替えるから、男は外行って。

フィーエル:あう。出てくー。

カトレア :んー。見ても気にしませんよ。

フアナ  :……レイディアだったら、気になるのに?

カトレア :ははは。何を根拠に?

フアナ  :……これでも多分百年は生きてる……甘く見ないで……。

カトレア :ははは。参ったなー。とりあえず、出ましょうか。

フアナ  :……お前も……出ろ。

トゥエリ :あ、はい。すみません。レイディアさんは全く気にしないもので。

フアナ  :……それが何を意味するか……わかってる?

トゥエリ :大体は。

フアナ  :……ごめん……わたしが悪かった……。

トゥエリ :同情してくれなくてもいいデスよ。

マリア  :では、着替えるかのう。

フィーエル:一足先に、レイディアさんに、会いに行く。

G   M:レンジャーがいないと時間がかかるので、
      結局、フアナとマリアの着替え待ちです。
      そして、エルフたちに見送られつつ、一行は集落を後にしました。
      見送りの一般人を装って、フアナの両親もいるわけですが。
      空気が読めるので、声をかけてきたりはしませんけどね。

フアナ  :……無視……。

G   M:わかりました。そのまま町に戻りますね。
      宿でお姉さんにディスペル・マジックすると、魔法は解けます。

フアナ  :(ころころ)……無駄に出目が高い……。

女の子  :お姉ちゃん、ありがとう。でも、また歩けなくなっちゃった……。

カトレア :リジェネレーションを使いましょうかねー。(ころころ)かかりました。

女の子  :

カトレア :安静にしていれば、7日ほどで足が戻りますよ。

女の子  :あんせい?

フィーエル:しずかに、してるってこと、だよね?

トゥエリ :合ってますヨ。

女の子  :足、治るの? また歩けるようになるの?

カトレア :いい子にしてればね。

女の子  :お兄ちゃん、ありがとう! 大好き!

カトレア :あ、あのー。僕、そういった趣味は、ですね……。

マリア  :よかったのう。本当によかった。

G   M:ディースの復活劇を目の当たりにした女の子は、
      カトレアの言葉をあっさり信じます。もちろん、本当に治るわけですが。

カトレア :足が治ったら、強くなって、ドラゴンにふくしゅ……。

マリア  :つまみ出してくるぞ。

G   M:女の子はマリアに向かって、お兄ちゃんを放せー、
      お兄ちゃんはわたしと結婚するのー、と叫びながらポカポカ殴ってきます。
      足はまだ治ってませんが、上手にもたれかかりながらの攻撃です。

マリア  :ぬぅ。我は心が広いからのう。

フィーエル:いい子に、ね?

女の子  :うん。わかった。

G   M:では、ディースの部屋に場面を移します。朝遅く、扉をノックする音が。
      声を聞くと、例の、フィーエルを口説いてた女性の準幹部ですね。

レイディア:鍵を開けるわ。何だろ?

女性商人 :失礼します。ボスからの使いで参りました。
      本来ならばボス直々に伺うべきところですが、お二人でご療養のところ、
      万が一失礼があってはということで、私が選ばれた次第です。

レイディア:あ、私たちまだそんなんじゃないですから、お気遣いなく。

ディース :そんなんって、どんなん?

レイディア:しっ、知らないわよ!!

女性商人 :ディース様、お体の具合はいかがでしょうか?
      もしお悪いようでしたら、出発をもう1日遅らせるか、
      馬車の中に多少のスペースを作らせていただくこともできますが。

レイディア:申し訳ないですけど、馬車にスペースをお願いします。
      完治に1週間ほどかかるそうですので、
      さすがにそこまでお待たせするわけには……。

女性商人 :承知しました。ボスに伝えておきます。

ディース :完治に1週間って、俺のこと?

レイディア:ていうか、他に誰も怪我してないし。私が看病してあげるから、安心して。

ディース :つーか、出発1日遅らせたの? 俺のせい?

女性商人 :ご一行が護衛でなければ、ファンドリアで
      もっと足止めされていた可能性もあります。
      お気になさらないでくださいと、ボスが申しておりました。

ディース :あー。こりゃワビ入れにいかねーとな。

レイディア:動けないから来てくれたんでしょうが!

ディース :一晩寝たら動くだろ、さすがに。

レイディア:オルフがどんなだったか、あんたも見たでしょうが!

ディース :動けるっしょ?

G   M:動けますね。

ディース :なら、ひょいと立って歩く。

G   M:立てますし、歩けますね。

レイディア:……あ、あー、あ、あるけるの!!?

ディース :え? 普通歩けねーの?

G   M:女性商人は蘇生魔法の仕組みも知らないので、
      特に不思議そうにはしていませんが。

ディース :どの馬車にいるかはわかってるしな。頭にワビ入れてくる。

レイディア:せ、せ、せめて、私につかまるとかっ!

ディース :そんなカッコ悪い真似ができ……レイディア、赤くなってねえ?

レイディア:あっ、赤くなんかなってないわよっ!

ディース :変なリーダーだな。でも、俺は変なお前も好きだぜ。くししし。

レイディア:わっ、わっ、私もっ! ……私もっ……変なのよっ!!!

ディース :俺は変じゃねーよ。変な奴だなー。

G   M:女性商人の生暖かい視線を感じつつ、ルーシュンのところに案内されます。
      ディースはルーシュンに謝りましたが、
      ルーシュンは遅れについては気にしていない様子。
      むしろ、お願いですから安静になさってくださいとたしなめられました。
      そして、2人は隊商の馬車を離れます。

レイディア:あの女商人、気付いてた……。ああっ、噂になるぅー。(頭をかかえる)

ディース :何が噂に? もしかして、俺の華麗なる少女救出劇!?

レイディア:それはないと思う、多分。

ディース :そっかー。……そういやさ。

レイディア:なに?

ディース :俺に言いたいことって、何?

レイディア:……聞こえてたの?

ディース :ああ。何が言いたいのかなーって。今言わなくてもいいけどさ。

レイディア:言うわよ! 言ってやるわよ!

ディース :え、マジで? ……今じゃなくてもいいんだけど。

レイディア:今言わせてよっ!!

G   M:2人は向かい合います。隊商の馬車からはだいぶ離れました。

レイディア:………きなの。

ディース :わりぃ。聞こえなかった。もう1回言ってくれ。

レイディア:大好きなのっ!! 好きで好きでたまらないのっ!!!

G   M:レイディアの視線の向こうに、他の仲間たちが映ります。
      2人がいないので探しに来たようですが。
      まだ2人を見つけてないようですが、フィーエルは必死の表情ですね。
      マリアも慌ててます。

レイディア:すっ、好きなの!!! …………た、た、た、戦うのがっ!! 

ディース :はあ?? レイディアの頭持って、自分のでこにくっつけるけど。

レイディア:ひぁうっ!!???

ディース :やっぱ、熱あるんじゃね?

レイディア:なっ、なっ、なにをっ!!?

ディース :(レイディアを放して)病気が流行ってたら、
      親がよくやってくれたんだよな。
      熱って、こうやって計るんじゃねーの?

レイディア:きゅ、急に顔近づけないでよ!! びっくりするじゃないの!
      それに、傍から見たら変なことしてるように見えるでしょうがっ!!?

ディース :くしししししし。面白いこと言う奴だな。
      今日のレイディア、女の子みたいだぞ。

レイディア:殴ってやる。こいつ、殴ってやるぅ!

ディース :お、やるか? なら、ハンデで両目閉じるぜ!

レイディア:馬鹿にするなっ! (ころころ)5。

ディース :(ころころ)4ペナでも17。攻めちゃっていいの?

レイディア:手加減無用っ!

ディース :じゃあ、目ぇ閉じたまま寸止めで(ころころ)15。

レイディア:(ころころ)がんばったけど、11。

G   M:目を閉じてるので、寸止めは至難です。
      ファイター+器用度ボーナスで20ほど必要ですが。

ディース :ありゃ? (ころころ)6ゾロだけど?

G   M:レイディアの眉間の手前で拳が止まります。

レイディア:(ころころ)わざと音を立ててフェイントしつつ、組み合いを狙うわ。

ディース :小細工は無駄だっつーの。目ぇ閉じたまま様子見。

レイディア:(ころころ)6。

ディース :(ころころ)14。避けた。

レイディア:やるわね。こうなったら6ゾロ狙いよ。2回攻撃!
      (ころころ)6。(ころころ)6

ディース :(ころころ)17と12。かすりもしねー。

G   M:さて、少し前。マリアたちは、遥か遠くで、
      ディースがレイディアの頭を抱き寄せて、
      自分の頭の前に顔を持って行ったのを目撃しました。

フアナ  :……初めての……チュー……。

トゥエリ :…………レイディアさんっ……お幸せに……。

フィーエル:泣かないで。ぼくはまだ、あきらめないから!

フアナ  :……ディース、立ってる? ……幻覚?

トゥエリ :……そうデス。きっと幻覚デスよ!

マリア  :レイディアは、あのような自己満足な幻覚は作らぬ。多分。

カトレア :2人とも部屋からいなくなってましたしね。

フアナ  :……そもそも、歩けるの?

カトレア :この魔法は覚えたてですし、あまり使わないのでなんとも……。

マリア  :レイディア……あの手にほどよくフィットする胸が男に……くっ。

フィーエル:大同盟は、まだ生きてる! みんな、忘れないで!

G   M:2人は殴り合いに突入します。
      近づいてみると、ディースは目を閉じているようですが。

トゥエリ :私の祈りが通じたんデスかね?

フィーエル:???

フアナ  :……覚えておくといい……あれが、痴話ゲンカ……。

フィーエル:あう。わかった。

フアナ  :……あんなに動いて、大丈夫なの?

カトレア :いったん動ければ大丈夫です。おそらく、
      呼び戻されたばかりの魂が体になじまないから動けないんでしょうから。

フアナ  :……そう。

G   M:やがて、隊商の人々も集まってきました。
      娯楽の少ない村で、退屈していたんでしょう。
      竜殺しの魔法使いと、竜の前に飛び込んでいった勇敢な戦士の戦いですから。
      女の子にしてはかなり強いレイディアと、
      目を閉じて攻撃をことごとく避けているディースに釘付けです。

レイディア:ちょっと、何よこのギャラリーはっ!? ……あの女かっ!

ディース :え? そんなにいんの?

レイディア:あんたさっきから避けすぎよ。薄目開けてんじゃないの?

ディース :開けてねーよ! なんなら、目隠しよこせ。

レイディア:懐に持ってたマリア用のリボンを丸めて投げるわ。いくわよ。

ディース :目ぇ閉じたまま受けられる?

G   M:目を閉じたままなら、ファイター+器用度で16必要です。

ディース :(ころころ)危ねー。ギリギリだ。

G   M:ギャラリーから「おおおーっ!」と歓声が上がります。

トゥエリ :隊商の人たちと一緒に眺めてましょうかネ。

フィーエル:うん。

ディース :目を閉じたまま目隠しにするか。……レイディアの匂いがする。

レイディア:ば、ばかぁっ!!!? 何言ってんのよっ!!?

ディース :視覚が閉ざされてるから、他の感覚が鋭くなるんだよ。

レイディア:一回死ねぇ!! (ころころ)7。

ディース :1回死んだって!(ころころ)14。 へっ。当たらねーな。

G   M:ディースが鮮やかにかわすと、ギャラリーから拍手が。

フアナ  :ぱちぱちぱち。

レイディア:当たらないって言ったわね。

ディース :おう。

レイディア:当たったら、私の言うこと一つ聞いてもらうわよっ!

ディース :な、なんでだよっ!?

レイディア:当たらなかったら、私がなんでもするからっ!

ディース :乗った。ただし、チャンスは5回だ。

レイディア:上等よ。

トゥエリ :これは、どう転んでもまずいデスよ。

フィーエル:あうー。

レイディア:フル・ポテンシャル! (ころころ)14。

ディース :その詠唱はフル・ポテンシャルか。きたねーぞ。

カトレア :ディースさんにも支援がいりますねー。

フアナ  :……フル・ポテンシャル。(ころころ)17。

ディース :抵抗(ころころ)20。

フアナ  :!?

ディース :そんくらいのハンデ、上等だぜ!

フアナ  :……好きに……するといい……。

G   M:1回目。

レイディア:(ころころ)2回攻撃で10と9。

ディース :(ころころ)17と14。

G   M:2回目。

レイディア:(ころころ)2回攻撃で1ゾロと5。

ディース :(ころころ)13。

G   M:3回目。

レイディア:(ころころ)2回攻撃で7と5。

ディース :(ころころ)12と15。

G   M:4回目。

レイディア:こうなったら一発に賭ける。(ころころ)10。

ディース :(ころころ)おっと、12。

G   M:5回目。

ディース :どうした? 口だけか、大将?

レイディア:これが最後の一撃……。
      思いの強さなら負けない。降り続く雨だって、念じれば止まるのよ!
      行っけー! (ころころ)出目3+2=5……。

フアナ  :避けないで!

ディース :(ころころ)11。って、急にそんなこと言われても避けるだろ。

レイディア:……。

ディース :目隠しを外して、レイディアに投げ返すぜ。
      あんな大声上げながら攻撃したら、位置が丸分かりだろ。

フアナ  :……どこまでも、空気が読めない男……。

レイディア:……私は……まだまだね……。

ディース :そうだな。新兵が手を焼く程度には強いけど。

レイディア:私、強くなりたい! ……練習、付き合ってよね!

ディース :おう。

G   M:ギャラリーからは、惜しみない拍手が送られます。

カトレア :んー。青春デスね。

トゥエリ :最後の最後で裏切らないでくださいヨ……。

フアナ  :……ちょっと心に届いたから……。

フィーエル:あうー。





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