みにきた?
■試合開始直前
G M:参加者たちは、裏庭に集合します。
裏庭には、ご丁寧にもロープを使って2メートル間隔にラインが引かれ、
盤面が形作られています。
どこから用意したのか、全てのマスに2メートル四方の大きさの
布製の色付きシートまで敷かれていて、黒マスと白マスの区別もつきます。
白軍の助っ人は、レイディアの友人のマリアと、寮母のミケーの2人。
黒軍の助っ人は、正魔術師の紹介で連れてこられたイカーグ、
謎の仮面騎士を名乗る筋骨隆々の男、導師候補のルナオナの3人です。
参加者以外は、ギャラリーとして裏庭で試合を見守ります。
レイディア:見ない顔が2人いるわね。ていうか、1人は仮面だし。
マリア :仮面ごとき、我のボールで叩き割ってやろうぞ。
ローディス:すごい自信だね。
アリエル :かわいいなぁ。あの子、はやく大人にならないかなぁ。
ルコ :ちょっと、アリエル!!
シエナ :ルコ。調子に乗っていたら、承知しませんわよ?
ルコ :ふん。負け犬は黙ってなさいよ。
シエナ :なんですってー!?
リコリス :犬さんの悪口言ったらだめだよー!
アリエル :まあまあ。3人とも落ち着いて。
リオン :(アリエル様……そんなところもステキ……。)
フィーナ :あらあら。男らしい体の人がいますねぇ。
レイディア:先輩。わざと負けるのだけは勘弁っす。
レミィ :勝って正義を示すのですっ!!
ミケー :怪我しないようにね。あと、ウィットは怪我させないように。
エタニカ :エタニカ、パスしたかったんだけど……。
フアナ :……諦めて……。
レイディア:あんた、いい加減木刀持ち歩くのやめなさいよ。近寄りがたいんだけど。
エタニカ :近寄られたら、臭うって言われる……。
レイディア:風呂入れよ!!
フアナ :……それ……その辺置いといて……。
エタニカ :エタニカのだから、触らないで。
レイディア:触らないわよ!
クァルミル:姐さん、頑張りましょう!
チェーザ :頑張りましょう。
ローディス:うん。頑張ろう。
リリー :はうあっ!? なんでトゥエリさんがいないのーっ!?
レイディア:ふん。計算通りね。ということは、あの2人のどっちかが導師級よ。
アリエル :ははっ。そういうことになるね。
レミィ :元々男ですから、減っても痛くないのです。
レイディア:元々男子の方が助っ人1人多いから、文句言われる筋合いもないしね。
フアナ :……鬼……。
ルナオナ :で、大体そういう手筈なんっすよ。
イカーグ :それは楽しそうだな。
カトレア :ははは。
ディース :完璧だろ?
クーン :勝つぞ! 絶対に勝つぞ!!
ディース :へっ、当然だ!!
ミール :オレがやればできるってとこ、見せてやる。
ランディ :これだけ強い面子なら、勝てるよねー。
G M:盛り上がっている男子たちの中に
顔の全てを覆う仮面をつけたマッチョな男が無言で立っているわけですが。
ウィット :……その仮面、なんとかならんのか?
仮面騎士 :……。
ウィット :誰か、しゃべらせろ。
ランラン :変態か、こいつ?
ディース :男はみんな変態だって。それに、トゥエリの穴くらい軽く埋まる。
クロウ :穴が……埋まる……。
ランラン :この筋肉は戦士だな。どういう知り合いだ?
ディース :ああ。何日か前に、寮の前で行き倒れてたから、拾った。
ウィット :拾うなっ!!
ディース :いや、普通拾うだろ。
ウィット :普通拾わんわっ!!
ストリィ :ほほーぅ。これは美しい筋肉だ! 一緒に筋トレしたいよ!
仮面騎士 :……。
クロウ :筋肉2人より、片方は線が細い方がいいと思うけど。
マグノリア:……。
グレンザ :でも、一体誰なんすかねー?
ランラン :俺に聞くな。
アクトゥス:顔を隠すメリットがあるということですから……。
ディース :くししし。案外、誰かの保護者だったりして。
リコリス :あー、おとうさんだー!!
仮面騎士 :!!!?
リコリス :おとうさん、こんなところで何してるのー!?
仮面騎士 :……。 ←無言で「いえいえ違いますよ?」というジェスチャー
ディース :……マジかよ……。参観日じゃねーぞ……。
仮面騎士 :……。
アリエル :娘さんと、姉妹の契りを交わさせてくれないかな?
リコリス :ふぇ、ふぇー!?
ルコ :ちょっと、どういうつもりよっ!?
シエナ :(笑顔で)……アリエル…………?
G M:シエナの怒りのボルテージが上がっていきます!
アリエル :うわっ! 違う違う違う違う違う!
仮面騎士 :……。
アリエル :安心してほしい。君たちと同じことをするだけだから。
ルコ :それがダメなのよっ!!
シエナ :……。←無言でアリエルの袖を引っ張る。
レイディア:(体格が戦士系、発動体らしきものはなし。ま、トゥエリの穴埋めってとこね。)
仮面騎士 :……。
レイディア:滅多に会わないんでしょ? 何でわかったの?
リコリス :んーとねー。なんとなくかなー。
仮面騎士 :……。
レイディア:(この子、公式にはお父さんいないって情報だったけど……。)
リコリス :おとうさん、お仕事大変なのー?
仮面騎士 :……。
レイディア:(隠し子の類か、育ての親の類か……まあ、踏み込む気はないけど。)
リコリス :おとうさん、もっとおうちに帰ってきてねー。
仮面騎士 :……。
ディース :こいつも困ってるみてーだから、その辺にしといてやってくれ。
リコリス :(寂しそうに)……。
仮面騎士 :……。
リコリス :(せいいっぱいの笑顔で)また帰ってきてねー!
仮面騎士 :……ああ。
ディース :お、俺は悪くねーからなっ! 拾っただけだからなっ!
レイディア:お前、空気読めよ。
■試合開始直前
G M:では、両軍のメンバー表が交換され、それぞれ幹部同士で作戦会議です。
レイディア:助っ人がキングとは、面白い布陣ね。
フアナ :……層が、厚い……。
アリエル :僕の恋人のセンスマジックによると、彼は全身マジックアイテムだそうだ。
フアナ :……ブルジョワ……。
レイディア:昨日の夜も来てて、トゥエリと連絡が途絶えたのも昨日の夜だから。
アリエル :彼が導師級という可能性もあるわけだね。
ローディス:あんな導師は知らないよ。
アリエル :正魔術師でもないね。学院の名簿にもそんな名前はなかった。
ローディス:相変わらず、とんでもない記憶力だね。
レイディア:うーん。学院つながりでなければ、誰かの親類か、あるいは……。
レミィ :でも、誰かの父上にしては、若いです。
レイディア:変身魔法という可能性もあるわ。ディスペルは無意味だろうけど。
アリエル :ここは、魔法と戦闘が両方可能な人物、という想定で動こう。
レイディア:それが一番ね。
ローディス:リコリスのお父さんは、強いのかい。
リコリス :うん。うちのおとうさん、凄いんだよぅ〜!
レイディア:具体的には、どのくらい強いわけ?
G M:話を聞いた感じ、軽く6レベルはありそうです。
レイディア:か、軽くって何よ!?
レミィ :つ、強いです!
ローディス:うちの師匠すら上回るとは……。
アリエル :そっちは、マジックアイテムは一切無し。発動体も持っていないよ。
レイディア:それでナイトってことは、特攻してくるわね。
アリエル :そうだね。残るルナオナは導師候補になったばかり。4レベルだ。
ローディス:天才は成長のスピードが違うね。
レイディア:成長といえば、1人だけずっとレベル上がってない人がいるんだけど。
アリエル :ははっ。貴族はいろいろとやることがあるんだよ。
フアナ :……お前は、やりすぎ……。
ディース :行くぜっ! 合言葉は酒池肉林だ!!
一同 :酒池肉林!! 酒池肉林!!
イカーグ :まさか、寮の男子がこれほどまでにまとまるとは!
ウィット :……お前、OB、なのか? それにしては知らん顔だが……。
ランディ :知らないよ。少なくとも、過去10年間に寮生だったことはない。
ランラン :寮の生き証人は伊達じゃないな。
ディース :めんどいのは抜きだ。作戦通り、イカーグが指揮を執る。
イカーグ :敵は強いが、勝てるかな?
一同 :勝てるッ!!
イカーグ :よし、行くぞ!!
一同 :おおおおおおっ!!!
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