青い恋まっしぐら
G M:3年前。学院で。
グラース :では、この理論について説明を……ルガード・フォード。
フォード :……わかりません……。
グラース :たるんどる。写本が足りんのか?
フォード :た、足りてますっ!
グラース :この程度でつまづくようでは、各論に入ってからが大変じゃぞ。
レイディア:(情けないわね。こいつら、レベル低すぎでしょ……。)
グラース :精進するように。……では、レイディア。
レイディア:はい! 物質界に存在する万物の根源、すなわちマナが……(以下略)。
グラース :正解じゃ。さすがは特待生、概論レベルは楽勝というわけかな。
レイディア:はい。このくらい当然です。
フォード :……。
グラース :ふぉっふぉっ。将来が楽しみじゃのう。
レイディア:任せといてください。
女性徒A :何あいつ、特待だからって偉そうに。
女生徒B :グラースに名前で呼ばれてたわよ。裏で問題教えてもらってんじゃないの?
女生徒A :ありそう。
女生徒B :一回、教育しとく?
女生徒C :やめときなよ。ローディスに怒られるよ。
女生徒B :そうだよね。やめとこ。
女生徒A :あー、ローディス、なんであんな奴かばうんだろ……。
G M:レイディアは、故郷の森から出て、寮に入ったばかり。
レイディア:優秀な私には、こういう文明的な生活のが似合うわね。
G M:そして、同い年の人間と接するのも初めてだったりします。
レイディア:ちゃんとお父さんの言った通り、なめられないようにしてるわよ。
G M:しかも、いきなり寮生活なわけですが。
レイディア:その辺の見習いとは格が違うわ。個室よ個室。
G M:ただ、何の縁故もない特待生ってレアなんですよね。
レイディア:まあ、森の中からスカートされるほど優秀だから仕方ないわ。
G M:正しくはスカウトですね。今までは、共通語なんて滅多に使わなかったので。
レイディア:知ってるわよ! 1ヶ月もあったら修正できるわ!
G M:優秀なので、それくらいは簡単ですね。
レイディア:まあ、私は優秀だし、コネなんて不要よ。
G M:ただ、変な時期に入ってきた特待生ということになりますので。
レイディア:導師の決定だから、問題はないはずだけど?
G M:周りはお金持ちの子弟。話題が合わないとかいうレベルじゃありません。
レイディア:お金払わなきゃ授業受けられない奴もいるのよね。
G M:それが普通なんですが。他にも、周囲から浮く要因には事欠きません。
レイディア:知ってるわよ。苗字がないのよね……。
G M:はい。自分の苗字を知りません。あったかどうかすら定かではありません。
レイディア:しょうがないでしょ! ずっと家族だけで暮らしてきたんだから!
G M:正直に言いますか?
レイディア:正直に言ったら、馬鹿にされるに決まってるでしょ!
G M:どうしますか?
レイディア:入ったばっかだし、故郷に手紙出したら検閲食らうわよね……。
G M:それ以前に、父親が手紙を返すような性格とも思えません。
レイディア:こうなったら……。
G M:こうなったら?
レイディア:自分で決めてやるわ! なんか、それっぽいのないわけ?
G M:それっぽいのというと?
レイディア:地元の名前がそのままついてたりとか、地方の有力者っぽいやつよ。
G M:故郷の森は、雨がよく降るため、外からは『雨の森』と呼ばれていたとか。
レイディア:雨はレインで、森は……たしか、フィールドよね?
G M:(辞書の使い方すら知りませんから、無理も無いんですよね。)
レイディア:レイディア・レインフィールド。私にふさわしい、いい響きね。
G M:かくして、レイディア・レインフィールドが誕生しました。
レイディア:これが爆誕ってやつね。歴史に残る瞬間だわ。 ←えっへん
G M:でも、苗字ができて以降も、周囲の態度は変わらないんですよね。
レイディア:な、なんでよっ!?
G M:授業で2人組を作らなきゃいけないところで1人ぼっちだったり。
レイディア:なんか、完全に孤立してる気がするんだけど……。
G M:ただ、味方はいるんですよね。3階の雄、ローディスが。
レイディア:ふん。勝手にひがんでりゃいいわ。私にはローディスがいるもんね。
G M:それと、顔はいいですから、男子には嫌われはしません。
レイディア:ふん。当然よ。
G M:他に美人多いですし、扱いが面倒なので、わざわざ寄ってはきませんけどね。
レイディア:……。
G M:というわけで、思いっきり孤立しつつも、実害はないのでした。
レイディア:い、いいのよ。どうせ、最後は個人の勝負だし。
G M:ちなみに、アリエルとはまだ個人的な付き合いはありません。
レイディア:綺麗な人だし、忙しいのよね、きっと。貴族とか憧れるわ〜。
G M:トゥエリは一応いますけど、まだ特待の申請通ってませんからね。
レイディア:……って、ローディス以外誰もいないじゃないのよっ!
G M:ある日、魔法の実習の授業中。
他の学生がエネルギー・ボルトで標的の木箱を粉砕したのですが、
たまたま飛んできた大きな木片がレイディアの額に当たって、
怪我をしてしまいます。
レイディア:……痛っ……な、なにすんのよっ!?
G M:実習中の怪我なんてよくあることですし、かわせない方が悪いんですけどね。
レイディア:くっ……。
ブリュワー:またお前か。美しくない光の矢も無粋だが……出血しているぞ。止めて来い。
レイディア:えっ!?
G M:傷口を触ってみると、確かに血がついてますね。
レイディア:……あ。
G M:レイディアは、傷口を洗うために、洗い場に行きます。
レイディア:もう。誰かハンカチくらい貸してくれたっていいでしょ。
G M:自分では持ってないんですよね。
レイディア:そんなもん買うお金あったら、素直にお酒買うわよ!
G M:そこに、背の高い好青年が通りかかります。ちょっとかっこいい顔ですね。
ストリィ :だ、大丈夫かい!?
レイディア:見てわかんないの? 大丈夫なわけないでしょ。
ストリィ :はは。それだけしゃべれたら大丈夫そうだね。……はい、これ。
G M:青年は、ハンカチを取り出して、レイディアに渡します。
ストリィ :傷口を洗ったら、それで押さえといて。ちゃんと洗ってるから。
レイディア:でも、そんな風に使ったら、血が取れなく……。
ストリィ :そんなの気にしないで。なんなら、それ、あげるよ。
レイディア:……あ、ありがと。……あの……名前は……。
ストリィ :僕かい? 僕はストラ。みんなにはストリィって呼ばれてるよ。
レイディア:……ストリィ……私は……。
ストリィ :特待生のレイディア・レインフィールド、だろ?
レイディア:えっ!? 何で知ってるの!?
ストリィ :特待生は少ないからね。すぐ覚えられるよ。
レイディア:……あの……ストリィって、呼んでいい?
ストリィ :いいよ。君はレイディアだから、レイレイだね。
レイディア:……レイレイ……とってもいい名前っ!!
ストリィ :だろ? ……おっと、もしかして授業中だった?
レイディア:あ!! これ、洗って返すからねっ!
ストリィ :気にしないでいいよ。転ばないようにね〜!
G M:レイディアは、胸の高鳴りを感じつつ、
ハンカチをぎゅっと握り締めてに水場へと急ぐのでした。
G M:翌日。トゥエリの部屋で。
レイディア:……よし。染みひとつないわ!
G M:実際、血は吸わせてない上に、すぐ洗いましたからね。
レイディア:当然よ。応急手当は完璧なんだから。
G M:さて、先ほどから、胸のドキドキが治まってないのですが。
レイディア:ふん。本で読んだことあるわ。恋ってやつでしょ? ←えっへん
トゥエリ :……アノ……サッキカラ顔ガ赤インデスガ……。
レイディア:なっ、なっ、なんでもないわよ! 悪い!?
トゥエリ :別ニ悪クハナイデスガ……。
レイディア:で、ストリィの予定、調べてきた?
トゥエリ :スミマセン……マダ片言デシテ……チョット……。
レイディア:使えない奴ね。とりあえず、私が直々に覗いてくるわ。
G M:では、講義室の1つで、窓際で本を読んでいるストリィを見つけます。
レイディア:……こっ……こっこっ……!
ストリィ :やあ、レイレイじゃないか! うん。傷の具合もいいみたいだね。
レイディア:……こっ、この前は世話になったわねっ!! こ、これ!
ストリィ :ああ、別に良かったのに。ありがとう。
レイディア:と、当然よ! ……ここここちらこそ、ありがとう!!
ストリィ :レイレイは、しっかりしたいい子だね。
レイディア:こ、子供扱いしないでよ! 私、特待生なんだからねっ!
ストリィ :はは。ごめんごめん。僕は一般だから、これ。
レイディア:本がどうかしたの?
ストリィ :僕は馬鹿だからね。人より勉強しないといけないのさ。
レイディア:そ、そんなことないっ! 私、こんな難しいのわかんないもん!
ストリィ :はは。特待生が頑張ったら、このくらい簡単だよ。
レイディア:が、が、頑張ったら……お、追いつけるかな、私……。
ストリィ :そんなのすぐさ。追いついたら、僕にわからないとこ、教えほしいな。
レイディア:……そ、それって……一緒にべんきょ……。
ストリィ :嫌かい?
レイディア:すぐに追いつくから、待っててよねっ!!!
G M:レイディアは、猛スピードで走り去っていきました。
ストリィ :……あ。大事なこと聞き逃しちゃったや。
レイディア:というわけだから、よろしくね。
トゥエリ :……ツマリ、私ノ参考書ヲ出セトイウワケデスカ?
レイディア:そうよ。あんた、私の持ってないのも持ってるでしょ。
トゥエリ :ソレハ、レイディアサンガ酒代ニ……。
レイディア:はいはい。正論吐いていい子ぶってんじゃないわよ。これ、決定事項だから。
トゥエリ :……。
レイディア:あと、この辺の本、私が読んでない間に、穴埋め問題作りなさい。
トゥエリ :……アノ……授業スラ受ケタコト無インデスガ。
レイディア:あんたも特待生枠狙ってんでしょ。そのくらいなんとかしなさいよ。
トゥエリ :ヤッテデキナイコトハナイト思イマスガ……。
レイディア:ふん。私ら2人合わせたら、一般生ごとき、ぶっちぎれるわよ!
トゥエリ :……アノ……私ノ勉強時間ハ……?
レイディア:とりあえず、腹蹴るわ。
トゥエリ :ぐぶっ!?
レイディア:勇敢な部族の戦士が、どうして避けないの? まさか、蹴られるの好きとか?
トゥエリ :……ソ、ソンナコトナイデスヨ……。
レイディア:ふん。そういうことにしといてあげるわ。このまま踏むけどね。
トゥエリ :……ウウ……ナ、ナンテコトヲ……。
レイディア:どう? やる気になった?
トゥエリ :ワカリマシタヨ……。
レイディア:ふん。問題の出来がイマイチだったら、容赦なく踏むからね。
トゥエリ :トホホ……。
ローディス:最近、勉強頑張ってるみたいだけど……。
レイディア:理論は完璧よ。もうエネルギー・ボルトだって撃てるわよ。
ローディス:……す、凄い…………。
レイディア:……浮かない顔して、何の用……?
ローディス:ちょっと、よからぬ噂を聞いたんだけど……。
レイディア:べ、別にいいでしょ! 弟弟子が協力してくれるって言うんだから!
ローディス:そうじゃなくて、その……ストリィがさ……。
レイディア:何? もったいぶらないで教えてよ。
ローディス:レイディアがストリィのこと好きなのは、間違いないよね?
レイディア:……まあ、そりゃ女の先輩にはバレバレよね……。そうよ。
ローディス:ストリィはさ……やめとかない?
レイディア:譲らない、死んでも。
ローディス:……ちょっと、ストリィはさ……レイディアと合わない部分が……。
レイディア:あんないい人に、問題なんかあるわけないでしょ!!!
ローディス:た、多分、レイディアの他に好きな人とか、いるんじゃないかな……。
レイディア:……その子と付き合ってるわけ?
ローディス:い、いや、ちょっとよくわからないんだけど……。
レイディア:わざわざ、確かじゃない情報を持ってきてくれたの?
ローディス:……。
レイディア:私にあきらめさせたいの? ひょっとして、誰かに頼まれたわけ?
ローディス:い、いや! そうじゃないんだ!
レイディア:……わかったわ。忠告ありがとう。じゃあね!!
G M:直後、レイディアはストリィの部屋をノックしますが、返事はなし。
部屋でたまに弾いている楽器の音も聞こえてきません。
レイディア:留守か……。
G M:トゥエリの情報によると、この時間は授業は入ってなかったはずです。
あと、オフに裏庭でトレーニングしてることもあるそうですね。
レイディア:じゃ、裏庭覗いてみるわよ。
G M:レイディアは、裏庭へと続く寮の建物の角を曲がりました。
ストリィ :ふんっ! ふんっ!
G M:そこには、汗だくでスクワットしているストリィの姿がありますね。
上半身は裸。ガッツシリーズには負けますが、いい筋肉をしています。
レイディア:…………。
ストリィ :ふんっ! ふんっ! ふんっ!
レイディア:(頑張ってる男の人って、ステキ……!!!)
G M:しばらく眺めていると、ストリィが気付きますね。
ストリィ :やあ、レイレイ! 声かけてくれたらよかったのに。
レイディア:ステキな筋肉ね。か、かっこいいわ!
ストリィ :ありがと! もしかして、何か用だった?
レイディア:あのね、これはね、噂なんだけど……。
ストリィ :な、何?
レイディア:好きな女の子とか、いたりする?
ストリィ :はは。いるわけないよ。
レイディア:(なら、まだ望みはあるってことよね。)そうよね。変なこと言ってごめん。
ストリィ :気にしないで。そういえば、レイレイはトントンと仲いいんだよね?
レイディア:トントン?
ストリィ :あのレンドルフ師のとこの子さ。特待に推されてるらしいけど。
レイディア:ああ、トゥエリのことね! べ、別に仲良くないわよ!
ストリィ :そう? 最近、トントンのとこにレイレイがよく来てるらしいけど。
レイディア:あ、あれは弟弟子だから、面倒見てあげてただけで……。
ストリィ :レイレイは優しいんだね。
レイディア:そ、それほどでもないわ。(えっへん) でも、トゥエリがどうかしたの?
ストリィ :困ったことがあったら、僕を頼るように言っておいて。
レイディア:わかったわ。優しいのね。
ストリィ :そんなことないよ。またね。
レイディア:うん、また。邪魔してごめんね。じゃあね。
G M:レイディアは、走り去っていきました。
レイディア:とりあえず、最悪の事態は免れたわね。でも……。
悪気は無いんだろうけど、ローディスの八方美人っぷりにも困ったもんね。
こうなったら、頼れるのは1人よ。
G M:その後、レイディアはトゥエリの部屋に入り浸ることになります。
あの後でアリエルとも仲良くなりましたが、やはり、授業が無い上に
言いなりになってくれるトゥエリの方が色々と便利なんですよね。
レイディア:同じ1階にいたら、偶然会える機会も多くなるしね。完璧な作戦だわ。
トゥエリ :師匠ノお陰デ、見習いデスラナいノニ部屋ガあルンデスヨネ。
レイディア:この件に関しては、ローディスは信用ならないわ。他の子の味方みたいだし。
トゥエリ :ワカリマシタヨ。レイディアサンノタメニ頑張リマス。
レイディア:いい心がけね。
G M:ある日、トゥエリの部屋がノックされるわけですが。
レイディア:ほら、出なさい。
トゥエリ :あ、足置キニサレテマスカラ、ノいテクレナいト無理デスヨ……。
ストリィ :トントーン! いるかい?
G M:来客者はストリィのようですね。
レイディア:やば! 誤解されたらアレだから、隠れるわよ。
トゥエリ :トリあえズ、タンスノ中ニ。
G M:では、レイディアがタンスの中に入り、トゥエリがストリィを出迎えます。
レイディアは、隙間から外を見ることもできますが。
レイディア:見るに決まってんじゃないの。ドキドキしちゃうけどね。
ストリィ :やあ、トントン。
トゥエリ :ストリィデシタカ。マあ、上ガッテ下サいヨ。
ストリィ :ごめん。勉強中だった?
トゥエリ :ソンナノ気ニシナいデ下サいヨ。先輩ナンデスカラ。
ストリィ :じゃ、お言葉に甘えて……。トントンは、勇敢な部族の戦士だったんだよね。
トゥエリ :あレハ、師匠ガ勝手ニ……。
ストリィ :謙遜しなくてもいいよ。ちょっと、体を見せてくれないか?
トゥエリ :体デスカ? 男同士デスシ、別ニいいデスケド……。
G M:トゥエリは、上半身裸になります。
ストリィ :下もいいよね。バランスも大事だからね。
トゥエリ :仕方ナいデスネ……。
G M:パンツは?
トゥエリ :脱グワケナいデスヨ!
G M:トゥエリの筋肉は、見た目こそ悪くないですが、
あまり良質ではないんですよね。
ストリィ :……うーん……イマイチかな……力入れてみて。
トゥエリ :コうデスカ?
ストリィ :違うよ。もっとこう……。
G M:ストリィは、後ろから被さるような形で、トゥエリの体を支えます。
トゥエリ :えラク熱心デスヨネ……。
G M:熱心どころか、腰のあたりに、硬いものが当たってるわけですが。
トゥエリ :……ソ、ソレハ、私ニあッテ、レイディアサンニナいモノデスカ?
G M:正解です。心なしか、鼻息も荒いような……。
トゥエリ :あノー……ツカヌコトヲ伺いマスガ……。
ストリィ :なんだい?
トゥエリ :……ストリィハ……女性ニ興味アリマスカ?
ストリィ :はは。あるわけないだろ。
トゥエリ :ダ、男性ガ、好キダッタンデスカ……。
ストリィ :結構バレバレだけどね。トントンはどう?
トゥエリ :…………帰ッテモラえマセンカ?
ストリィ :……お、怒った? 急すぎたかな? ごめんね。
G M:ストリィは、慌てて帰っていき、入れ替わりに、レイディアが出てきます。
レイディア:……。
トゥエリ :レイディアサン……。
レイディア:……ローディスのとこ行ってくる……ついてこないで……。
G M:目に涙をためたレイディアが、ローディスの部屋の扉を開きます。
ローディス:……レイディア……。
レイディア:……ストリィのこと、知ってたのね。
ローディス:ご、ごめんね。真剣そうだったから、どうしても言い出せなくて……。
レイディア:私こそごめん。ローディスの気持ちも知らないで……。
ローディス:……辛いときは、泣いてもいいんだよ。
レイディア:…………う、うわぁぁぁぁぁぁん!!!
ローディス:(レイディアを抱きしめながら)ごめんね。ごめんね。
レイディア:……ありがと。泣いたら落ち着いた。
ローディス:私の胸でよかったら、いつでも貸すからね。
レイディア:ローディスって、頼りになる……お母さんって、こんな感じなのかな?
ローディス:レイディア…………。何かあったら、何でもいいから、相談してね。
レイディア:……優しいよね。憧れるわ、そういうとこ。
ローディス:……私の方こそ、レイディアに憧れてるんだよ。
レイディア:嘘……。
ローディス:嘘じゃないよ。かわいいし、頭いいし、芯が通ってるし。
レイディア:ローディスは、何でもいい方向に捉えすぎよ。私なんか……。
ローディス:そんなことないよ。もっと自信を持って、いいところを伸ばしていけばいい。
レイディア:ありがとう。私も、ローディスだけは心から尊敬してる。
強くって、優しくって、みんなに慕われてるもん。
ローディス:そんな風に思ってくれてたんだね……ありがとう。
レイディア:うん。私、ローディスみたいになりたい。ちょっとでも近づきたいの。
ローディス:レイディアは今のままで充分魅力的だと思うけどね。
レイディア:そう? まあ、とりあえずお互いの長所は分析できたわ。
お互いのいいところを真似てけば、理論上もっと上に行けるはずよ。
ローディス:でも、私がレイディアを真似できるところなんか……。
レイディア:そこでへたれないの! もっと我を通しなさいよ!
ローディス:わかった。でも、他の人に話すときは、もっと穏やかな表現がいいかな。
レイディア:……そうか、そうだったのね……早速効果ありじゃない!?
ローディス:でも、勉強はちょっと……私、頭良くないから……。
レイディア:そう? 話した感じ、すごい理解力高いような……。
ローディス:やっぱり、特待生とは違うよ……。
レイディア:だから、すぐへたれちゃだめでしょ。同じこと何回も言わせな……あ!
ローディス:……お互い、急に直すのも難しいよね。少しずつやっていこうか。
レイディア:そうね。おいおい直していきましょ。これからもよろしくね。
ローディス:うん、こちらこそよろしく。
かくして、レイディアの初恋は終わったのでした。
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