あいつまぞな!








G   M:翌日、族長を連れて、再び巨人の集落に顛末を報告に行きます。
      そして、無事集落に帰って来ました。
      トゥエリたちが巨人を倒した話は瞬く間に広まり、
      一行は集落でもてはやされます。
      夜には、集落総出で勇者を讃える宴が開かれます。

族長   :(部族語で)知っての通り、この客人たちは、たった7人で2体もの巨人を倒した。
      また、我が部族の一員トゥエリも、素晴らしい働きを見せた。
      今宵は、客人たちと、我らの新たな勇者を祝おうではないか!

集落全員 :ワーーー!!!

クゥバス :(部族語で)見直したぞ。たった3人で巨人を倒すとは。

トゥエリ :(部族語で)3人だけの力でもないですけどね。

クゥバス :(部族語で)それでも凄い。お前こそ真の勇者だ!

レイディア:(下位古代語で)むっつりスケベな真の勇者。 ←タング使ってる

ディース :(下位古代語で)覗きがバレてとっとと逃げ出した真の勇者。 ←乗った

マリア  :(下位古代語で)惚れた女の眼中に入らぬ真の勇者。 ←タング使ってる

フアナ  :(下位古代語で)……実は踏まれたい……真の勇者。 ←タング使ってる

トゥエリ :(下位古代語で)あの、黙って……もらえますかね? お願いしますから。

レイディア:(下位古代語で)後でいい酒おごりなさい真の勇者。

トゥエリ :(下位古代語で)わかりましたから、お願いしますよー。

族長   :客人たち、よければこれも飲んでくれ。トゥエリもだ。

トゥエリ :(部族語で)これ、秘蔵の神酒じゃないですか? 
      儀式を逃げ出した私が、これを頂いていいんですか?

族長   :(部族語で)あんなものは、皆に認められるための一つの方法にすぎん。
      皆に認められれば必要ないものだ。
      ここにはもう、お前を讃える者しかいない。

クゥバス :(部族語で)族長のお言葉だ。勇者といえど、粗末にしないでくれよ。

トゥエリ :(部族語で)では、頂きましょうか。

レイディア:いいお酒? いいお酒? なら1人で先に飲むな!

トゥエリ :な、なにするんデスか! ちょっとこぼれたじゃないデスか!?

フアナ  :……儀式って……何?

トゥエリ :大岩を背負って長距離走するというものデス。ここの成人の儀式デスよ。

族長   :(小声の共通語で)実はワシ、あの儀式でズルしたんだよねー。

トゥエリ :な、なんデスって!!?

族長   :あの岩、一本杉のだいぶ前に置いて、一本杉で枝を取って、帰りに岩拾って。

トゥエリ :そ、そんなことしたんデスか!?

族長   :族長に代々伝わる口伝によれば、あれは集落で生きる適性を探る試験だから。
      例えば、上手い抜け道を考えた人間は、次の族長候補になるんだなー。

トゥエリ :…………な……なんてことを……。

族長   :この森、体力だけは生きていけないんだなー。
      同じ試練を突破していれば、戦士たちも統率しやすいし。
      大体、あんな無茶な試練、全員が正面から突破できるわけないでしょ?

トゥエリ :……た、確かに……。

族長   :出発地点の碑文は覚えているかな?

トゥエリ :与えられた岩を背負い、一本杉の枝を取り、岩を持ち帰り、でしたっけ?

族長   :大体合ってる。で、ずっと背負ったままでとか、書いてた?

トゥエリ :…………。

族長   :生きていく道は1つではない。
      お前は賢かったから族長候補として密かに期待してたけど、
      正面から挑んで失敗し、去っていっちゃった。真面目すぎたんだなー。

トゥエリ :……その抜け道にも気付かなかったんデスから、どのみち私は失格デスよ。

族長   :戦いを見ればわかる。お前はもうワシにも勝てる強さだ。
      皆に認められ、賢いし魔法も使える。
      戻って、族長候補として生活する気はないか?

トゥエリ :……逃げたときにもう全部捨てちゃいましたからネ。戻る気はないデスよ。

族長   :……そうか。族長候補ってもてるのになー。残念だなー。

トゥエリ :……それに、やりたいことが残ってますからネ。

族長   :(下位古代語で)いつでも戻って来い、真の勇者よ。

トゥエリ :ありがとうございます。……え? 今の下位古代語? え? え? はい?

族長   :(下位古代語で)ほどほどにな。 ←にやけてる

トゥエリ :……とっ、ということは、今までの古代語の会話は全部……。

フィーエル:あう。つつぬけー。

レイディア:ふん。どうやら、予想が的中したようね。(えっへん)

フアナ  :……共通語しゃべれる時点で、可能性に気付け……うっすらぱー……。

トゥエリ :知っててやってたんデスか!?

レイディア:いや、確証ないから、わざとじゃないわよ?

トゥエリ :言ってくださいヨっ!






こうして、宴はいっそう盛り上がるのでした。





第10話後編・第3節 へ
第10話コーヒーブレイク へ

トップページへ