まわり道
■6ターン目
氷の軍対風の軍の戦いは、氷の軍が辛くも勝利を収めました。
しかし、アリエルがスリープ・クラウドで精神力を使いきり、
ローディスもカウンター・マジックに精神力のほとんどをつぎ込むといった、
かなりボロボロな状態です。
G M:では、これから退場する風の軍。
ランディ :頼むよ、ミケさーん。
ミケー :(悔しそうに)残り1人になると、攻めなきゃいけないからねぇ。
ルコ :(にこやかに)とても残念ね。
レミィ :ちょっとは悔しそうな顔しろですっ!
ルコ :私の分まで頑張ってよね!
アリエル :もちろんさ。
ミケー :ああーっ、戦闘の途中で頭脳を欠いたのが敗因かーっ!!
レミィ :それに関しては、申し訳ないです。
ミケー :責めてるんじゃなくて、悔しいっ! 悔しい悔しい悔しいっ!
レミィ :当初の目的を忘れてるですか?
ミケー :そうだった! ウィットに怪我させるんじゃないよ!
アリエル :ふと思ったんだけど、僕があれに怪我させたら、どうなるんだい?
ミケー :考えんでいい。そこの問題児も怪我しないように。
レミィ :怪我くらいはいいですけど、寮内で傷が消えないとまずいです。
アリエル :平たく言うと、死ななきゃいい、ってことかい?
ミケー :それ、ボーナスどころか、首が危ないから!! いろんな意味で!
レミィ :怪我しないようにやってたら、死ぬことはまずないです。
ミケー :フォーリング・コントロールはディスペル禁止っ!!
アリエル :ははは。
ミケー :……笑い事じゃないんだけどねぇ。
G M:風の軍は、ギャラリー席に退場していきます。
氷の軍は、キルシュ・アリエル・フィーナが窓側に背を向け、
その向かい側で、ローディス・リコリスが壁から少し離れて
周囲を警戒します。
アリエル :寮母を甘く見ていたね。いくら僕でも、戦ったことはないから。
キルシュ :貴族のおもりが貴族に手を出したらまずいかしら。
アリエル :あいにく、守備範囲外だ。
ローディス:そういう意味じゃないと思うけど。
リコリス :ふぇー?
キルシュ :消耗が、予想以上かしら。
フィーナ :私は、消えたところで戦闘能力がないですからねぇ。
キルシュ :それは、クスパールとルナっちも同じよん。
アリエル :それがわかるだけでも、かなり大きいね。
フィーナ :今、地の軍に攻められると、まずいですよね。
リコリス :でも、アリエルは強いよー。
アリエル :ありがとう。でも、実力は寮母の方が上だったよ。
リコリス :えー、そうなのー!?
ローディス:キルシュさん、地の王は実はかなり強いという話でしたが。
キルシュ :あの馬鹿は性格上、大将じゃないと気が済まないかしら。
フィーナ :あらあら。難儀な性格ですねぇ。実力を生かせないじゃないですか。
アリエル :それなら、前衛をあしらいながら、僕がロタールを叩くよ。
リコリス :がんばってねーっ!
キルシュ :アクトゥスとウィットは、要職の割には強くないわん。見栄での選抜かしら。
アリエル :ははははっ。うまいこと言うね。
リコリス :うーん。1階と5階も、色々たいへんだねー。
フィーナ :あらあら。ここで体面を気にするとは、余裕ですねぇ。
ローディス:それでも、正魔術師2人は脅威ですよ。特待のアクトゥスも私たちには……。
アリエル :リコリスの精神力は、正魔術師対策のために取っておかなきゃね。
リコリス :まほうはきかないよっ、だねー!
キルシュ :カウンター・マジックのことかしら?
G M:さて、氷の軍の皆さんにはわかりますが、
現在、地の軍0点、水の軍22点、火の軍0点(脱落)、風の軍0点(脱落)、
氷の軍16点というのはほぼ確定しています。
レイディアが、知らないところで地の軍にやられてる可能性は薄いですし。
要するに、仮にレイディアを発見して水を0点にすれば、暫定トップ。
その後は時間切れまで地から逃げ切れば勝ちになります。
それか、地を全滅させた上で、復活した水も全滅させるか、
地を全滅させた上で、復活した水から逃げ切るか。
もちろん、この場で地を迎え撃ち、水は復活させないという手もあります。
キルシュ :レイディアを潰すべきかしら。ロタールと戦うべきかしら。
フィーナ :センス・マジックで、後方の憂いを断ちましょうかねぇ。
アリエル :だけど、それで見つかるとは限らないのが問題なんだよね。
フィーナ :視界の外にあるものは、見つけられませんからねぇ。
ローディス:先にロタールさんと戦えば、その間にレイディアの軍が復活しますよ。
フィーナ :ここで戦えば、その心配もありませんけどねぇ。
アリエル :スリープ・クラウドの飛び交う場所での精神集中は難しいからね。
リコリス :キルシュは消えられないけどねー。
ローディス:す、すみません!
キルシュ :怒ってないわん。やっぱり、フィーナを将軍にすればよかったかしら。
アリエル :いや、将軍1人が逃げても、他が全滅すれば19点取られるから。
フィーナ :大量リード時以外の逃げっぱなしは、あまり意味がないですねぇ。
キルシュ :難しいわねん。
リコリス :奥が深いねー。
キルシュ :次の中間発表の前に、決めないといけないかしら。
アリエル :僕に作戦があるんだ。まず、全員で、前庭に陣取る。
キルシュ :リコリスの予言に反する方向に動いて、大丈夫かしら。
リコリス :予言じゃないよー。おとうさんに教えてもらったんだよー。
フィーナ :お父さん、ですか?
リコリス :うちのお父さん、すごいんだからねーっ!
ローディス:アリエル、聞かせてもらっていい?
アリエル :まず、ストーン・サーバントに入り口の扉を抑えさせる。
リコリス :うごくよいしさんっ、だねー。
フィーナ :なるほど。アンロックでも開きませんよねぇ。
リコリス :攻撃魔法も禁止だもんねー。
アリエル :そして、リコリスが扉に罠を仕掛ける。開けたら発動するように。
リコリス :がんばるよーっ!
キルシュ :ロタールなら普通に外せるかしら。
ローディス:解除するにも、音が出るから、不意打ちはできませんね。
フィーナ :でも、上空からのディスペルには、どう対処するんですか?
アリエル :最初に、クリエイト・イメージで地上の風景の幻覚をかぶせて、隠す。
フィーナ :なるほど。扉が開かなかったら、ロックの類と判断するわけですね。
アリエル :センス・マジックを使う頃には、かなり消耗しているはずだよ。
ローディス:……考えたね。
キルシュ :飛び降りにはどう対処するのかしら。
アリエル :フォーリング・コントロールだけで精神力を消耗するし、ディスペルは怖い。
フィーナ :(笑顔で)あらあら。怖いことを考えますね。
アリエル :少なくとも、ウィットは、僕の詠唱の速さを知ってるからね。
リコリス :アリエルがもうくたくたなんて、思わないよねー。
キルシュ :いいわ。みんなもその作戦でいいかしら?
フィーナ :賛成です。
ローディス:異議はないです。
リコリス :いぎなーしっ!
アリエル :よし。走って行くよ。
G M:では、氷の軍の5人が、建物の角の向こうに消えました。
探されてないですので、レイディアは好きな位置にいて構いません。
レイディア:作戦会議の時点で近くまで行ってたから、フアナの前で姿を現すわ。
ディース :おっ!
フィーエル:あう!
トゥエリ :声が大きいデスよ。
フアナ :……罠の確率……50%……。
レイディア:わかってる。フアナの布を戻すわ。
G M:2ラウンドほどかかりますが、戻ります。
兵士のフアナが復活しました。【得点変動なし】
さて、(ころころ)少し遠くで、足音が聞こえた気がします。1人分です。
レイディア:急いでディースの布を戻す!
G M:では、レイディアの動作より先に、
建物の角の部分で、消えていたリコリスが姿を現しました。
フアナ :……想定の範囲内……レイディアの前へ。
かくして、半壊状態の水の軍と、氷の軍の戦いが幕を開けます。
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