何かが奏でる狂想曲








街の人Cに見送られ、一行は家を出ます。
奇病の正体がただのラット・ディジーズなのか、
それともさっき診た人間だけがラット・ディジーズだったのかで迷い、
ひとまずもう1人診てみることにします。



オルフの残り精神力ではキュアー・ディジーズを普通にかけるのが限界のため、
診察兼無料奉仕ということにして、病人の家に上がります。






G   M:30代、男性です。

オルフ  :病状は?

G   M:先程と同じです。ラット・ディジーズですね。

オルフ  :では、先程と同じように治療を。(ころころ)出目5で失敗ですね。

G   M:神官が無料で魔法をかけてくれるのが稀なので、全く問題ありません。
      普通は成功の有無にかかわらずお金取られますし。
      むしろ、篤志家の神官と思われて感謝されています。

オルフ  :お力になれず申し訳ありません。家を出ます。

フアナ  :……なんじゃらほい……。

レイディア:つまり、街を壊滅に追い込んだのは、ただの鼠病?

フアナ  :……死亡はともかく……鼠病だと、凶暴化はしない……。

オルフ  :今まで凶暴化した人は、その前に全員寝込んでいましたか?

カイル  :はい。だからこそ、一連の現象は病気によるものだと……。

フアナ  :……別の病気が潜んでるか……それとも……。

マリア  :薬に何か混ざっておるのではないのか?

カイル  :何を言うんですか! 学院の薬は安全です!

トゥエリ :地下にいる何者かの存在も気になりますネ。

G   M:そんな話をしていると、悲鳴が聞こえます。「だ、誰かーっ!」

レイディア:悲鳴の方向へ向かうわ。

街の人D :助けてくれ! 病人が急に暴れだした!

G   M:駆けつけた先には、白目を剥いて暴れる成人男性の姿が。

フアナ  :……なんとなくわかった……センス・オーラ。

G   M:アンデッドです。あと、かすかに黄色く光っています。
      アンデッドの知識がないと、昼間に気付くのは無理といった程度です。

フアナ  :(小声で)……あの人、もう死んでる……。






セージチェックは、知力ボーナスの低いトゥエリ、ディース、フィーエルが失敗。






G   M:ワイトですね。精神を吸い取るアンデッド。4レベルです。

レイディア:精神力を吸い尽くされたら、こっちもワイトにされるわね。

オルフ  :わたくしは残り精神力が1ですよ!

フアナ  :……謎は全て解けた……。

レイディア:サンプルだから、念のために生け捕るわよ。

トゥエリ :オーラの見えない人から見たら、生きている人間デスしね。






一行は、オルフ以外の後衛全員がエネルギー・ボルト。マリアは打撃攻撃。
傷つきすぎたら各々がキャンセルという布陣で戦います。






フアナ  :(ころころ)エネルギー・ボルトで3点通し。

レイディア:(半端ね。) ←詠唱中

G   M:ワイトはディースを攻撃します。

ディース :(ころころ)避け損ねた。(ころころ)5点食らって(ころころ)精神に3点。

レイディア:(ころころ)エネルギー・ボルトで6通ったわ。

マリア  :手加減で殴るぞ。(ころころ)ダメージは固定で9点通しじゃ。

G   M:衝撃で後ろにふっ飛びます。
      (ころころ)生死判定は6ゾロで成功です。生け捕りました。

街の人D :だ、大丈夫ですか!?

オルフ  :取り押さえました。手遅れでしょうが、ギルドに運んでみます。

レイディア:手は尽くしますが、覚悟はしておいてください。

街の人D :……俺は見たんですよ。そいつが寝込んでると、夜中に鼠が出てきて、
      集団でそいつにのしかかって……で、次の日起き上がったかと思ったら……。

オルフ  :もしかして、凶暴化の方も鼠が感染源なのですかね?

レイディア:とにかく、運ぶわよ。






G   M:注視していた精霊使いのフアナにはわかります。
      ギルドに運ぶ途中、不死の精霊力が途絶えました。
      微弱な黄色い光が消え、アンデッドは活動を停止します。
      光に関しては、ワイトだとわかった全員がわかりましたね。

レイディア:不完全なアンデッドか。これで、外見上も死亡、と。

オルフ  :早速、責任者に報告しましょう。






アーガム :つまり、疫病の正体がラット・ディジーズで、病気で動けないでいる間に、
      鼠に取り付いたワイトに精神力を吸収されて、ワイトになるということか。

オルフ  :その通りです。

レイディア:被害者は、神官の手が届かなかった者ばかり。
      そこまで蔓延しているような場所には、賢者が近寄らないのも道理です。

トゥエリ :判別できる人間が駆けつけたところで、もうアンデッドじゃないわけデス。

フアナ  :……冒険者……出てっちゃったし。

アーガム :にわかに信じられんが、説明はつくな。約束どおり報酬は支払おう。
      敵が有形なのは助かる。鼠は神殿と協力して駆除できるからな。

フアナ  :……待って。

レイディア:街で見かけた鼠はワイトではありませんでした。
      ワイト化した鼠の群れは別の場所にいます。

トゥエリ :使い魔の大鼠を下水道に潜り込ませたんですけど、
      危険を察知したので戻らせました。

リノ   :ぢゅっ。

アーガム :……ワイト化した鼠の群れ以外にも、何かいるというのか……?

レイディア:その可能性はあります。そうであれば、我々が退治しましょう。
      町に出て、ビジョンとセンス・オーラとシースルーを併用し、
      下水道をご覧になって頂けるようお願いします。

アーガム :確かにどれも使えるが……考えたな……。

レイディア:仲間のエルフの発案です。

フアナ  :……地図……お願い。

アーガム :確かに、下水道の図面を調達させるより速いな。わかった。

オルフ  :凶暴化する前ならば、ただのラット・ディジーズにすぎないとわかりました。
      病人の保護をお願いします。

アーガム :悪質な伝染病でないとわかった以上、不可能なことではない。
      だが、ギルドには病人の収容施設がないので、神殿と掛け合ってみよう。

レイディア:緊急連絡用に、通話の護符の貸与をお願いします。

アーガム :わかった。相手がワイトであるならば、魔晶石を集めるのが得策だ。
      今日はギルドの客室で休んでくれ。図面は作っておく。

レイディア:ありがとうございます。






一行は、翌日にアーガムから地図と魔晶石を受け取り、疫病騒ぎの根本を絶つべく、
下水へと旅立つことになりました。





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