夜に来る!








一行は、布陣を決めます。
まずは、守る対象を一点に集めるべく、1台目の幌馬車にフレイを含む3人家族を乗せ、
生命力の高いディース、最高戦力のマリア、
マリアを制御可能で魔法が撃てるレイディアが警護につきます。
戦力の分散を避けるため、御者は別に雇いました。
そして、2台目の馬車を遊撃隊にし、回復・攻撃能力のあるオルフ、
生命力の高いフィーエル、攻撃魔法を放てる上に回避能力もあるトゥエリとフアナが
同乗します。御者は攻守に長けたトゥエリが務め、
一台目への不意打ちを避けるべく、1台目の馬車の前に位置します。
使い魔があるものは別の馬車のメンバーに預け、連絡を取り合います。
リーダーのレイディアは双方の馬車に使い魔を乗せ、状況把握に努めます。






G   M:では、1日目です。

トゥエリ :店舗前に馬車2台で陣取ってますヨ。

レイディア:全員昼間寝てるから、夜は寝ないわ。

マリア  :貴族の娘はそんなことはせぬぞ。

レイディア:マリアだけは夜になったら寝かせて、何かあったら起こすわ。

G   M:依頼を受けた当日の夜ですが、何も起こりません。

レイディア:昼間も店舗に警護対象を集めて、念のため警戒よ。交代で寝ながらね。

G   M:昼間は全く何もないですね。そして、2日目の真夜中がやってきます。

レイディア:第1馬車の中で警戒中よ。

ディース :暇だなー。……そこの僕、お兄ちゃんが歌聞かせてやろうか。

子供   :うん、聞かせてー。

ディース :遠い異国に伝わるサーガでな……。

子供   :うん、どんなのー?

ディース :毎年祭りの日に1人が死んで、1人が消えるんだ。

G   M:子供は震え上がり、フレイには睨まれます。

レイディア:いいかげん空気読めよ!

G   M:そのとき、第2馬車の御者のトゥエリは前方に、何かを見つけます。

トゥエリ :子猫のカルーアを抱えつつ、凝視しますヨ。

G   M:月明かりに照らされたそれは、光沢のある甲冑に身を包んだ首なし騎士です。
      戦車に乗り、戦車を2頭の首なし馬が引いていますね。
      首なし騎士は片手に手綱を、もう片手に自分の首を持っています。
      はるか前方にいたそれは、凄いスピードで接近してきますね。

トゥエリ :(大声で)敵襲デス!

オルフ  :そのようですね。

フアナ  :……いらっしゃーい……。

フィーエル:あう。来たね。

G   M:カルーアを通して、レイディアにも情報は伝わります。

レイディア:(大声で)来たわよ!

ディース :悪い奴は、お兄ちゃんたちが退治してやるからな。

マリア  :ふん。我が拳の前に、砕け散るがいい。

G   M:まず、敵は前方から第2馬車の目前に迫っているわけですが。

オルフ  :敵の知能は最高が人間並みですから、こちらが手を読めますね。

G   M:前にいる第2馬車については、素通りするコースのようです。
      行きがけの駄賃で、トゥエリを攻撃してきますが。

トゥエリ :両手ふさがってるんじゃないんデスか!?

G   M:攻撃時には、手綱と首を同じ手に持って、剣で攻撃してきます。

フアナ  :……器用……。

ディース :手が滑って、首落としたら笑えるよな。くししし。(笑)

トゥエリ :すれ違いざま、ライトニングを騎士と戦車に当たるように撃ちますヨ。

フアナ  :……エネルギー・ボルトを、戦車に。

オルフ  :トゥエリ君にキュアー・ウーンズ。傷つかなければキャンセルで。

フィーエル:あう。指示通り、ライトニングを、馬と戦車に。

レイディア:(エートを通して)正面なんだから騎士に当てろよ!

フィーエル:あ、あうー……。

G   M:とりあえず、今回は宣言通りです。第1馬車の面々はどうしますか?

レイディア:家族を伏せさせながら、次から射線が通るように馬車の後ろ側に立つわ。

ディース :御者に発進準備を指示するぜっ。

マリア  :我は最後の砦であるからのう。いつでも立てるように座っておくぞ。

G   M:では、行動開始です。敏捷度20のフアナから。

フアナ  :……(ころころ)抵抗された……(ころころ)ダメージが1ゾロ!

マリア  :18の我は、貴族の風格を漂わせながら、悠然と座っておるぞ。

G   M:敏捷度16でデュラハンの攻撃です。攻撃点14が1回。

トゥエリ :(ころころ)ファイターは伸ばしてないので避けられませんネ。
      (ころころ)4点止めて、10点食らいましたヨ。

G   M:残り2点。いきなり死にかけましたね。

オルフ  :15でこちらの番ですね。(ころころ)×2。9点癒しました。

トゥエリ :お返しのライトニングデス。(ころころ)14。騎士だけ抵抗しましたネ。
      (ころころ)騎士にはダメージが通りません。
      (ころころ)戦車にはクリティカルで14点通りましたヨ。

G   M:いきなり半分近く削れましたね。

フィーエル:あう。らいとにんぐ。(ころころ)14。抵抗、破った。
      (ころころ)馬に、4点通して、(ころころ)戦車に3点、通した。

G   M:このラウンドの終わり、第1馬車が手筈通り、第2馬車より先行します。
      第2馬車は発進しますか?

トゥエリ :はい。

G   M:ならば、御者は発進に専念してください。
      第2馬車の御者に攻撃を仕掛けたデュラハンは、
      第1馬車もろとも通り過ぎたところで、戦車ごと空中に浮き、急旋回。
      180度進路を変えてから2ラウンド目に臨みます。

ディース :お、おいおい……。

レイディア:……想定内よ。(は、反則じゃないのよ……。)

G   M:デュラハンは馬車で前進しつつ、邪魔な第2馬車に横から
      体当たりを試みます。ここからは、競走しながらの戦いになりそうですね。
      では、行動宣言を。

トゥエリ :急速発進デス。

フアナ  :……エネルギー・ボルトを……戦車に……。

オルフ  :キュアー・ウーンズを、治癒魔法でダメージを受ける首なし馬に。

フィーエル:ライトニング! 騎士はもう狙えないから、馬1匹と戦車に。

G   M:第1馬車の面々はどうしますか?

レイディア:ライトニングよ。当然、傷ついた馬と戦車に。

ディース :へっ。俺も同じだ。

マリア  :様子を見るしかないのう。暇じゃ。

G   M:では、順に処理します。まずフアナ。

フアナ  :(ころころ)抵抗された。(ころころ)3点通った。

マリア  :暇じゃのぅ。

G   M:では、戦車つきの体当たりです。普通の馬車なのでかわせません。
      馬車の荷台そのものに15点ダメージ。
      馬車に乗っている人間には、全員戦車の打撃点の半分の7点ダメージを。
      鎧と冒険者レベルで減点できます。ダメージを受けると、
      転倒の危険もあります。ダメージを受けた人は、
      冒険者レベル+敏捷度ボーナス。受けたダメージをペナルティとして判定を。
      失敗すると転倒します。転倒判定で1ゾロなら、道に転がり落ちます。

トゥエリ :(ころころ)2点受けました。(ころころ)転倒しましたヨ。

フアナ  :(ころころ)1点通った。(ころころ)……こけた……。

オルフ  :(ころころ)1点通りました。(ころころ)転倒は免れました。

フィーエル:(ころころ)あう、3点。(ころころ)あうー。ころんだ。

G   M:古代語魔法は動作が必要ですので、未行動のフィーエルとトゥエリは、
      強制的に魔法キャンセルですね。
      第2馬車にダメージを与えつつ、
      当て逃げの要領でデュラハンたちは前に出ます。
      もう第1馬車の目前ですね。

オルフ  :キュアー・ウーンズ!(ころころ)抵抗を破りました。
      (ころころ)馬に3点のダメージが通りましたよ。

ディース :ライトニング行くぜ!(ころころ)ちっ、両方に抵抗されたか。
      (ころころ)馬に6点。(ころころ)戦車に2点だ。

レイディア:とどめは私が! ライトニング! (ころころ)抵抗破った!
      (ころころ)馬に7点。(ころころ)戦車に7点。

G   M:馬Aは倒れました、生死判定は成功ですが、
      アンデッドなので回復手段がないですね。戦車は残り1点です。
      ただ、馬が1体倒れたので、戦車は行動能力を失いました。
      第1馬車の目前に迫っていたのが、ぐんぐん距離が離れていきます。
      第2馬車も走行を続けていたので、戦車を追い抜きますね。

トゥエリ :(カルーアに)レイディアさんので敵の馬を1体倒しました。
      戦車は単独では動けません。とりあえず、スピード緩めますカ?

フアナ  :……今のうちに……立つ……。

フィーエル:あう。ぼくも。

G   M:そのとき、最初から立っていたオルフの視界の先に不吉なものが……。

オルフ  :な、なんでしょう……?

G   M:片手に自分の首と手綱を持った騎士が、首なし馬に乗って駆けてきます。

オルフ  :……ふむ、騎士だから不可能ではないですね。トゥエリ君、来ましたよ。

トゥエリ :(カルーアに)敵襲デス! 残る馬に乗って追って来ました!

フアナ  :スピード緩めないでよっ!!

レイディア:……ったく……冗談じゃないわ……。

ディース :何かあったのか?

レイディア:ぴんぴんしてる方の馬に乗って追いかけて来たってさ。

マリア  :ふん。騎士であれば不思議なことでもないのう。

レイディア:余裕ね。

マリア  :最後の砦たる我は無傷であるしのう。

レイディア:違いないわ。

G   M:敵は加速し、チャージの要領で第2馬車の御者のトゥエリを攻撃します。

トゥエリ :常道とはいえ、また私デスか!?

オルフ  :トゥエリ君にキュアー・ウーンズを。傷つかなければキャンセルで。

フアナ  :この道は、石畳?

G   M:あ、なるほど!






フアナは、精霊魔法のスネアで、馬を転ばせることを狙っているようです。
全く想定してなかったので、地面の材質は考えてもみませんでした。
まあ、普通に考えれば、石畳の上でないと高速レースは難しそうなもんなんですが、
ここは、アイデアを尊重して、土の上を走っていることにします。
1レベルなので、効かない確率も高いですし。






G   M:とりあえず、今走っているところは土です。
       次のラウンドくらいには、また石畳に戻りますけど。

フアナ  :……なら、スネア達成値+1を馬に……7以上で、転ぶ……。

トゥエリ :敵を転ばせる魔法デスか……。

オルフ  :あえて1レベルの精霊魔法とは、考えましたね。

フアナ  :……敵、4レベルだし……魔力、高いし。

トゥエリ :接触時に2匹に当たるように、ライトニングデス。

フィーエル:あう。同じく。

G   M:第1馬車の面々にはまだ敵の姿が見えてません。では、順に処理を。

フアナ  :スネア! (ころころ)6ゾロ!

G   M:馬は転びます。6ゾロですか……それは……。
      全速力だったので、魔法で足をつかまれることによって、脚も痛めましたね。
      足が折れたので、行動不能です。
      全力で走っていた馬の脚が土の精霊に絡め取られたので、
      騎士は大きく投げ出され、首と剣を持ったまま転がっていきます。
      通常武器無効なので落下のダメージは負いませんが。

トゥエリ :魔法をキャンセルしますヨ。

フィーエル:あう。僕も。

トゥエリ :(カルーアに)フアナさんの精霊魔法で、馬を倒しました。

G   M:騎士ですが、転がりながら、姿が薄くなっていって、消えました。

トゥエリ :(カルーアに)騎士は落馬、でも、その騎士が消えました!!

G   M:同じ時間、第1馬車の荷台に首なし騎士の輪郭がぼうっと浮かびます。

フレイ  :ひ、ひいぃぃぃっ!

レイディア:(後ろに下がりながら)てっ、敵襲っす!

ディース :見えてるって。俺は3人の前で、護衛を。

レイディア:ていうか、テレポート能力なんか聞いてないってば!

マリア  :ふん。よくぞ我の力無しで戦車と馬を破った。こ奴は我に任せるがよい。

G   M:デュラハンは自分の首を持った手で、フレイさんを指差します。

レイディア:一家の主が大当たりだったんすね。そりゃタチが悪いわ。

G   M:第2馬車の面々は、エートとリノを通して第1馬車の状況を知ります。

オルフ  :マリア君が万全なので大丈夫でしょうが、一応急ぎましょう。

トゥエリ :向こうは馬車を止める余裕もないでしょうしネ。

G   M:しばらくはレイディア、ディース、マリアと、デュラハンの戦いになります。





第3話前編・第3節 へ
第3話後編・第2節 へ

トップページへ