探検と
応急手当によって一命を取り留めた一行は、しばらく村に逗留。
精神力を回復したオルフの神聖魔法で傷を癒してから、
ゴブリンの残党がいないことを確かめるため、例の洞窟に向かいます。
隊列は、ディースとトゥエリが前衛。
中にレイディア、フアナ、オルフの3人(戦闘技能なし)を保護し、
念のためにフィーエルが後ろの防御を固めます。
G M:ミノタウロスとの戦いで見た洞窟の裂け目の前までやってきました。
フアナ :……ここから……出てきた?
オルフ :ありえないことではないでしょうね。
ディース :ミノタウロスの守ってたお宝があるかもな!
G M:よく見ると、足元に糸がありますね。
そこから裂け目の奥に向かって、道上を赤い糸が続いています。
フアナ :……太さや材質は?
G M:ありふれた材質です。太さは毛糸くらいですね。
フィーエル:うわー。さっそく、伝う、いこう!
レイディア:襟首掴んで止めるわ。だーめーでーしょー?
オルフ :この糸は、誰かの小指につながってるかもしれませんね。
トゥエリ :(あなた、何歳ですか!?)
G M:裂け目は横に並ぶと2人ずつしかくぐれませんけど。
レイディア:生命力の低いフアナと回復役のオルフの身が優先だから、
2人を2番目に通すわ。当然、2人ずつくぐって。
トゥエリ :賛成です。どこかから何か出てくるとしても、
2番目の組だけ単独で襲われることはないでしょうし……。
G M:裂け目を抜けると、別の洞窟につながっています。
その洞窟は、自然の洞窟に手を加えて単純な迷路にしたような感じです。
その通路の1つ、行き止まりの部分にさっきの裂け目が通じていたようです。
迷路とはいっても作りがやや雑で、十中八九「これが元からあった自然の
通路だな」という道がわかります。で、足元の糸もそちらに続いています。
フアナ :さっきの裂け目は……人工には見えないよね?
G M:では、各自レンジャー技能+知力ボーナスで。(ころころ)成功者いますね。
裂け目は地震か何かで大規模な揺れが生じてできたようですね。
揺れる前から自然にできた小さな隙間とかがあったのかもしれません。
ディース :糸が続いている方向、俺らから見ても正解っぽい?
G M:成功ロールの必要なく、冒険者としての一般的な感覚でわかります。
正解かどうかはともかく、糸は、後から人工的に掘られた部分を避けて
進んでいるようです。よそ見せずに大きな道を進んだかたちですね。
トゥエリ :なら、壁にチョークでしるしをつけながら進みましょうカ。
万が一、糸が切られたりしたときのために。
G M:そのまま糸に沿って進みますか?
フアナ :……警戒しながら慎重に進む。
G M:しばらく進むと、大広間に出ます。
ここは広間を作るために人工の洞窟の壁を広げて作った形跡があります。
そして、辿ってきた糸はここで糸玉につながっていますね。
糸玉の側には、頭をかち割られたゴブリンの死体があります。
フィーエル:他に、傷とか、ある?
G M:ないです。
フィーエル:(あうー。ごはん、食べなかったのかな?)
オルフ :(残念そうに)小指じゃなかったんですね。
トゥエリ :本気だったんデスか!?
レイディア:洞窟の入り口の側から、糸玉を持って探検に来てた?
トゥエリ :この広間には他にどんなものガ?
G M:部屋の中心に、直方体のドアのようなものがあります。
全員、セージ技能で判定を。
レイディア:この目なら余裕で成功でしょ。
G M:古代王国時代の移送の扉ですね。扉の形は壊れていませんが、
今では光を失っていて、使えそうにありません。
フィーエル:ミノ、ここの番人さん、だった?
フアナ :……見えてきた……多分、正解。
オルフ :おそらく、ゴブリンシャーマンが探検させたのでしょうね。
レイディア:糸玉は民家からパクったのよね。
トゥエリ :透明になって忍び込んだんデスかね。
オルフ :そして、あろうことか扉の番人のミノタウロスと鉢合わせ。
ディース :不意打ち食らったら一撃だよな〜。
レイディア:で、今まで出口がわからなかったミノタウロスは、
糸玉を伝ってゴブリンの洞窟に着いちゃったわけね。
フアナ :……あるいは、侵入者を排除しろという命令に従って……糸玉を伝った。
トゥエリ :異変を察知したゴブリンたちは洞窟から集団で逃走。
意外に足の速いミノタウロスに森で追いつかたわけデスか。
ディース :んで惨殺。ご愁傷様〜。
トゥエリ :ゴブリンシャーマンは手下を見捨てて、魔法か何かで難を逃れたんデスね。
フィーエル:そのとき、ミノ、洞窟のごはん(羊)、見落としてた、かな?
レイディア:それか、ひとまず目障りなゴブリンを優先したか、ね。
オルフ :なかなか込み入っていますね。
レイディア:手下が全滅したゴブリンシャーマンは、
ミノタウロスの力を利用できないかと思って、
村人をさらって差し出すことを思いついたわけね。
ディース :今思えば、比較的安全そうなとこ見つけて、
ちょっと寝て回復してたってとこか?
フィーエル:おねむ、だったのかな?
フアナ :……牛は、ゴブリンが来るまで……出られなかったみたい……。
トゥエリ :ゴブリンが探検に来るまで、新しい通路に気付かなかった、と。
レイディア:洞窟の人工部分とそうでない部分の見分けがつかなかったってことっすかね。
フアナ :……持ち場を守る命令より……侵入者狩りの命令が優先だったのかも。
オルフ :お互いにとって、不幸な出会いだったというわけですね。
さて、一行の推理は正しいのでしょうか。
なお、その後一行は迷わないように慎重に印をつけながら枝道をいつくか探索するも、
どこにも通じておらず、収穫は全く無し。
他の枝道はただのダミー(のつもり)と判断し、早々に引き返します。
そして、顛末を村長に報告しました。
オルフ :結局、全てはゴブリンのまいた種だったようですね。(嘆息)
フィーエル:(あうー。入り口、どこ?)
フアナ :……でも、ゴブリンの死体がなかったら、不意打ちでやられてたかも。
ゴブリンが家畜盗まなかったら……人が食べられてるし。
フィーエル:ゴブリン、いい人?
レイディア:いや、それは違う。
ディース :冒険者の店に首持って帰ったら英雄だったかもな。
レイディア:そんなに言うならあんたが持ちなさいよ。
ディース :嫌だよ。
トゥエリ :腐りますからネ。
フアナ :……首、実検……。
G M:ひとまず、首だけ切断して村に持って帰りました。
直立している以上骨格が普通の牛じゃないですから、
普通の村人にも何かとてつもない怪物らしいとわかってもらえましたけど。
首は村長たちが見守る中、村外れに葬られました。
レイディア:まあ、ゴブリンの惨殺死体もあったしね。
一行は、村人達の感謝の言葉に見送られ、村を後にします。
ディース :斧は持って帰ってるしな。
トゥエリ :村でもらった大八車に乗せて引っ張ってますヨ。もちろん私ガ。
G M:簡易的な車は長旅には向きませんけど、帰るまでは持ちますね。
ディース :帰ったら、駆け出し冒険者がミノタウロス倒したサーガ作るぜ!
フィーエル:ミノタウロス、強かった!
レイディア:このペースだと、次はワイバーンが出るわね。(苦笑)
G M:それは次回のお楽しみということで。(笑)
レイディア:ほんとに出すんじゃないわよっ!!
かくして、お決まりの(?)ゴブリン退治から一転、
ミノタウロスを退治してしまった一行。
ひとつの村を壊滅から救い、意気揚揚と冒険者の店へと凱旋するのでした。
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