コピー用紙の1枚目





刑法第246条 詐欺罪

人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。



詐欺罪。簡単に説明すると、他人をだまして金銭的な利益を得る行為を犯罪とし、
それを罰する法律である。詐欺罪は財産罪であり、いわゆる知能犯に分類される。

他人の財産をだまし取ることは、どれほど難しいのだろうか。
法律や倫理の問題はひとまず置いておくとして、例えば、
1ヶ月で誰かから合計500万円をだまし取る試験があったとする。
この試験、100人のうち何人が達成できるだろうか。
おそらく、1人にも満たないだろう。
もちろん金額の大きさにもよるが、詐欺というのは、実はそれほど難しいものなのだ。

最先端の脳科学研究により、人をだまそうとするときの詐欺師の脳は、
常人の数倍も活発に働いていることが明らかになっている。
もちろん、事前にいい策を考えるだけでは財産をだまし取ることはできない。
例えば、相手をだましていく過程で、疑いを抱かれることもあるだろう。
そのとき、彼らはとっさに言い訳を考える。
中には定式化された言い訳もあるだろうが、詐欺に想定外の事態は付き物である。
事態に直面したとき、言い訳であることを気づかれないように、彼らは瞬時にそれらしい嘘をつく。
そうして、疑っていた相手を再びだましてしまうのだ。

また、相手の想定外の言動に対して狼狽しないようにするなど、
自己のコントロールも必要である。
何を言われても、あたかも自分こそが正しいように振舞う。
彼らはそういった部分についても、惜しみなく脳を使わなければいけない。
しかも、だまそうとしている相手と、正常な受け答えをこなしながらである。

彼らは、それらのことを平気でやってのける。
法律的、倫理的な問題は置いても、彼らの頭がいいことは確かである。
こと人をだますことに関しては、詐欺師は常人の数倍の力を発揮するのだ。


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