執政官



執政官とは、省庁での内部選挙の後、国民の投票によって選ばれる各省庁の実務担当者代表である。
執政官は省庁の所掌事務の範囲内で、省庁の事務を統括する。
内部選挙には通例高級官僚しか立候補しないため、高い実務能力を備えた高級官僚が、
民意の権威付けをもって行政事務を統括することとなる。

執政官制度が政治的にとりわけ大きな意味を持つのは、道州制導入後のことである。
法律上、各道州庁の執政官が道州の代表という位置付けになったことから、
事実上、当該道州内の都道府県知事すら統括する立場に置かれることとなったのだ。

この執政官制度については、立候補の不自由、内部選挙の根回しのための派閥抗争の激化や、
特に外交・防衛の分野においていわゆる『小型大統領』が誕生して
内閣総理大臣と対立する可能性があることなど、様々な問題点が指摘されている。

内閣総理大臣は執政官の解任権を有するものの、後任者の指名・任命権を有しておらず、
また、執政官は民意の承認も得ていることから、事実上解任は難しく、
制度導入以来、解任権は一度として行使されていない。

なお、執政官は執政官代理を任命し、自らの権限の範囲内で職務を行わせることができる。
執政官代理の任命によって、執政官はその権限を失わない。
執政官代理の行為は執政官の責任に属し、執政官は自由に執政官代理を解任できる。
執政官代理の人数に制限はなく、執政官代理は、執政官の代理に関する以外の
自らを任命した執政官の執政官権限を全て有する。

つまり、執政官の所掌事務の範囲内においては、全国に執政官代理を派遣し、
行政事務を統括できるというわけである。

                              晩冬書房刊『よくわかる執政官』より


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