第4話・第20節・タイトル未定





G   M:黒点領が降参し、戦いはあやめ幼稚園の勝利で幕を閉じました。

ケン   :おーっ! さすがはアニキとはるひさん!
      オレもひそかに心の中でエールを送ってたんすよ?

ゆうすけ :(こいつは……。)

ましろ  :こうも腹が減っては、勝てんな。カードが欲しければ、同胞のふところを探れ。

ゆうすけ :あいつの手当てが先だ。

ましろ  :……あいつ?

ケン   :へ? オレっすか? 心配してくれるのは嬉しいんすけど、ケガしてないっすよ。

はるひ  :そんなことより、わたしのアメをもどしなさいな。
      今なら、どろに落ちたアメをなめるだけでゆるしてあげますわよ。

G   M:ゆうすけがまたしても感じた違和感。ゆうすけ以外の全員、倒れたケイジのことを心配する様子はありません。
      しかも、ゆうすけが敵を手当てしてやるという発想はなかったようで、
      ましろは『あいつ』が誰を指すのか本気でわかっていない様子です。
      確かに、向こうには不意打ちで眠らせようとしてきた非はあるのですが……。

ましろ  :能力を戻すのは、我輩の安全が保証されてからだ。

はるひ  :なんですってー!!?

リナ@音声:こら! もう全員うちのメンバーなんだから、ゆうすけの言うとおりにしなさい!!

ケン   :へい、ボス! あと、昇格の件よろしくっす!

G   M:はるひがましろに掴みかかろうとしたときに、突如聞こえた『リトルグラフ』越しのリナの音声。
      その声に、はるひとケンはしぶしぶながらも動き出します。

ゆうすけ :そういや、ケンは菓子持ってたよな。治療は任せたぞ。

ケン   :了解っす! アニキ、昇格の件よろしくお願いしやすよ?

ゆうすけ :(いつ誰が昇格してやると言った……。)リナと相談な。お前は大丈夫か?

G   M:ゆうすけは、女吸血鬼のコスプレをしたましろに向き直ります。

ましろ  :大丈夫だ。

ゆうすけ :何でまた、こんな食糧の無いところに隠れるように住んでたんだ?

ましろ  :我輩たちは、落武者だ。

ゆうすけ :……落武者?

ましろ  :同胞と一緒に、中央地区の幼稚園から逃げてきた。強い能力者がいない南地区にな。

ゆうすけ :………………何?

G   M:ゆうすけは、何を言われているのかとっさに理解できません。
      さて、床に落ちたアメを拾い集めて、倒れているケイジの側に置いたはるひが、
      会話しているゆうすけとましろのところにやってきました。

はるひ  :あなた、声が小さいですわよ! わたしに聞こえるように話しなさいな。

ゆうすけ :ちょっと待てよ!! 眠らせたり能力吸収できるお前らが逃げるほどの相手がいるのか!!?

G   M:ゆうすけの大声に、ケンもこちらにやってきます。
      そして、ケンが応急手当をしたのか、ケイジも起き上がりました。
      よろめきながら、ゆうすけの方にやってきます。

ケイジ  :我らの敵は、すざく幼稚園、はやぶさ幼稚園、そして……てんま幼稚園。

リナ@音声:てんま幼稚園!!

ケン   :この前来た、あずさって奴と同じとこっすね。

ケイジ  :てんまと会ったのか!? 何人殺された!?

ケン   :ちょ、ダンナ、そりゃいくらなんでも盛ってるっしょ?

G   M:能力者の階級が高くなることを見越してか、敵が敗者であるにもかかわらず、ケンは下手に出ます。
      殺されるだの何だのは普通信じられない話ではありますが、ゆうすけにとってはそうではありません。
      先程の夢の話を、おぼろげながら覚えているのです。
      『次に戦いに負けたら、ゆうすけの大切な人間が1人死ぬ』と。

はるひ  :はぁ? だれもしんでるわけありませんわ。あなた、何言ってますの?

ましろ  :いずれにしろ、この楽園はもう終わりだ。

?    :どうでもいいけど、聞きたいことがあるんだなーっ!

G   M:突如、階下から男の子の元気な声が聞こえてきました。声は少しずつ近づいてきます。
      足音から判断するに、敵は1人ですね。非常にゆっくりと階段を上ってきている様子です。

ケン   :アニキ! そういや、さっき戦ってるときに、外で女の子の悲鳴が聞こえたっす!

ゆうすけ :早く言え!!!

G   M:(正直、まさかこいつとここで会うとは……。)
      さて、階段を上って姿を現したのは、三輪車を肩にかついだ男の子1人でした。
      ええと、その格好が妙でして、制服は着ておらず、海パンのみ。
      そして、水泳用の帽子とゴーグルを装着しています。
      さらに、片手にはピンクのプラスチックバットを持ち、
      腰にはY字型のパチンコを挿したポシェットを装着しています。

?    :うぉーっ! 女の子がいっぱいだぜーっ!!

はるひ  :きゃーーっ!! へ、へんたいですわ!!

?    :よせよ、てれるじゃねーかっ!

ゆうすけ :いっぱいっていうか、2人だけどな。(ここはひとまず、様子を見るしか……。)

ケン   :いっぱいっつーか、おっぱいちっちゃいっすけどね。

?    :ヒャッハー! ちっちゃくたっていいじゃねーかっ!

はるひ  :やっぱりへんたいですわ!

ケイジ  :……お、追っ手か!?

G   M:そこで、男はようやく三輪車を置きます。三輪車の前面にデザインされた紋章は、
      赤地に黒で、羽が生えた馬がデザインされたエンブレム。
      (ころころ)ゆうすけ、ケン、はるひの3人は、羽が生えた馬をペガサスといい、
      それを日本語では『天馬(てんま)』とも呼ぶことを思い出します。

?    :それより、聞きたいことがあるんだなーっ!

ゆうすけ :な、何だ?(てんま幼稚園……さっき、『何人殺された?』って言ってたよな?)

?    :三輪車の女の子見なかったか? 強くて速いほうだ。

はるひ  :さんりんしゃよりはやい女の子でしたら、ここにいましてよ! ←えっへん

ゆうすけ :……俺は見てないが、見た奴いるか?

?    :いねーようだなぁっ! なら、オメーら全員叩きつぶす!

ゆうすけ :ちょっと待て! 何でそうなる!!?

?    :ジオテール十二神将の一人、クレイジー・ジョーとはオイラのことだぜベイビー!

ケイジ  :十二神将っ!!!?

ましろ  :……。

G   M:ケイジは顔面蒼白。ましろは今にも泣き出しそうです。
      あやめ幼稚園の3人はピンときませんが、2人の尋常でない様子からは、
      十二神将というのが非常にタチの悪い連中だというのが読み取れます。

ケン   :へっへっ。オマエ、多勢に無勢って言葉知らねーみてーだな?
      ダンナ、あんだけ休んだら戦えるっしょ?

ケイジ  :……無理だ。

ケン   :ちょ、マジっすか!?

ゆうすけ :(ケイジは悪くない。あの傷だと、普通は無理だ。)

ケン   :へっ、それでも4対1だ! 今なら見逃してやってもいいんだぜ? 変態野郎!

ジョー  :ヒャハハハ! にげないのが久々に来たねぇー!

ケン   :……へ?

はるひ  :おーっほっほっほっ! クレンザーだかなんだかしりませんが、
      近づかなければなんともありませ……ありませ……!?

ゆうすけ :(アメが出せないの忘れてたんだな……。)

はるひ  :ちょっとあなた! 早くもどしなさいな!

ましろ  :(小声で)……死にたくない死にたくない死にたくないよ……。

G   M:ましろは目に涙を浮かべ、虚空に向かってぶつぶつつぶやいています。
      しばらく何もできそうにありません。
      ひまわり幼稚園と戦って、その強さをわかっているはずのましろですらこの様子です。
      退路がないとはいえ、相手はたった1人なのに……。

ゆうすけ :(まずいな……。)

G   M:そして、ケイジは起き上がったばかりで、まともに戦闘できる状態ではありません。
      
ジョー  :全員で来ぉーいっ! でなきゃ死ぬぞーっ!!

ケン   :……ま、マジっすか?

ジョー  :あぁ、クレイジーなオイラでも、たまにはマジだーっ!

ケン   :……つーか、そのエンブレム……て、てんまっすか?

ジョー  :ヒャハハハ!! どうかなぁーっ!?

リナ@音声:まさか、てんま幼稚園がそこにいるの!? すぐ行くわ!

ジョー  :おぉー、どんどん来いよ!!

G   M:なお、一度に1つの戦闘に参加できる名のある園児は、1つの園で5人までです。
      まあ、今回は戦闘が終わるまでに増援が間に合うことはないでしょうけど。

ゆうすけ :来るな!!! どのみち間に合わない!

ジョー  :いや、来るねぇー。



夜想曲(ノクターン)発現! 『渇いた月(ドライ・ムーン)』!!



G   M:ジョーが能力を発動させたようで、上向きに置かれていたゆうすけの
      『リトルグラフ』に文字が表示されます。
      しかし、周囲の状況に変化は見て取れず、どんな能力なのかはわかりません。

ジョー  :ヒャッハー、カードを賭けろ! 楽しいバトルの始まりだ!!

G   M:かくして、戦いが始まります。


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