第95話・



グビアナ地下水道の最深部で、みつばたちは、アノンを倒した!



アノン
「ア…アンタと戦って、わては気づいてもうた……。
 わて、人間とちゃうわ……。人間は、クチから火ぃ吹いたりせえへんもんな……。」



気づくの遅っ!



アノン
「……せやけど、ここでくたばるわけにはイカンのや。ユリシスはんを、あの城に……
 あの敵だらけの城に帰すわけにはイカンのや……。わては、死ぬまでやるで……。」



そこに、声が聞こえてきた。



「お待ちください!」



声の主は、ジーラだった。
ジーラは、これ以上アノンを傷つけないように、みつばに言う。
アノンにもしものことがあったら、ユリシスが誰にも心を開かなくなってしまうという。

ていうか、よくここまで来れたな。



ユリシス
「ジーラ……なぜ? あんなに酷いことをいったのに、なぜそこまで私のことを……?」
ジーラ
「私は見てしまったのです。女王様が、アノンの前で涙を見せながら話しているのを。
 ……痛みを知らない子供が嫌い。心を失くした大人が嫌い
 ワガママな自分が嫌い。両親がいなくてさみしい……。
 女王様は、そうおっしゃっていました。
 私は……そのお気持ちを、アノンだけにではなく、私たちにも打ち明けてほしいのです!
 つらい気持ちを分け合えば、女王様も変われるはずだから……。」
ユリシス
「ジーラ……。」
アノン
「……あの城には、ジーラはんみたいな、やさしいお人もいたんやなあ……。
 これじゃあ、わてはピエロやで……。
 わては、チカラずくで、あの城からユリシスはんを引き離そうとした。トカゲの浅知恵やったわ……。
 ……なあ、旅人はん。わてにはわかる。アンタも人間とちゃうやろ?
 しかも、木の実に詳しいとみたで。
 わて、もうこんなチカラ、いらん。トカゲに戻って、ユリシスはんと一緒に暮らすことにするわ。
 この木の実、アンタに託すで……。ジーラはんのようなお人がいれば、もう、ユリシスはんは大丈夫や……。」



アノンの体が光り輝く



アノン
「おおきに……。天使のような、旅人はん……。」



光が消えると、そこには、元に戻ったアノンと、女神の果実が!
みつばは女神の果実を手に入れた!

自分のことを大切に思ってくれている人たちがいたことに気づいたユリシスは、
これからはみんなと力を合わせて国を盛り上げていくという。
なお、女王専用だった沐浴場は、乙女の沐浴場という女性専用沐浴場に生まれ変わった。
結局、女性優遇なのは変わらないらしい。
だが、お城に流れる水の量も減って、民の暮らしも豊かになりそうだという。
例の兵士詰め所にも予算が回され、兵士たちも仕事ができるようになった。
しかし、2階には、依然として昼間から寝ている兵士が……。



兵士
「グー、グー……。
 ……なんだい? オレの当番は夜からなんだ。昼間はゆっくり寝かせてくれよ。」



さて、女神の果実も手に入れたところで、砂漠のクエストをクリアしておくことにする。
まずは、ダンスホールに行き、青フキダシの青年に話しかける。



青年
「あなた、知ってますか? 最近、踊り子見習いになったばかりの、ククリちゃんですよ!」



勇者様〜。



青年
「いやぁ、あの子、かわいいでしょう? ボク、ファンなんです。
 あの初々しいとこが、またサイコーで!
 そこで、あなたにお願いがあるんです。
 メイジキメラって魔物がたまに落とすはねを3枚、取ってきてくれませんか?
 へへ、ククリちゃんに髪飾りを作ってあげるんです! どうです? もちろん、お礼はしますよ!」
みつば
「いいえ」
青年
「ダメ……ですか。
 もしや、あなたもククリちゃんのファン……?
 だっ、ダメですよっ! 彼女は、ボクだけのアイドルなんです!」



女同士だよ!!

やはり、この国は百合の国だ。
みつばたちは、グビアナに対する認識を、さらに深めるのだった……。



第94話 へ
第96話 へ

トップページへ