第91話・百合終い



グビアナ城で、みつばたちは、女神の果実をスライスして沐浴場に浮かべようという女王ユリシスを追う。
沐浴場の前に行くと、中から声が聞こえてきた。



ユリシス
「いい? お前たち? これからこの果実をスライスして、黄金の果実風呂を作るから。
 果実をうす〜く切って、沐浴場全体に散らしてくれる? さあ、すぐにとりかかって。」



なんとか阻止したいが、門番の女戦士は通してくれない。



サンディ
「えー! 中に入れてくれないワケ!?
 早くしないと、女神の果実が全部スライスされちゃうっつーの!
 こうなったら、手段は選ばないわ。お城の人に聞き込みをして、沐浴場に入る方法を見つけるのよ!」



再び女戦士に話しかけると……。



ユリシス
「ダメ! もっとうす〜くお切り!
 それでは、スライスした果実が全体に行き渡らないでしょう!」



近くにいた侍女に話を聞くと、屋上にいるスケベなオジサンなら、わかるかもしれないという。
ていうか、スケベなオジサンのことわかってんなら対策しろや。
そして、戦歴画面を開くと……。



サンディ
「あの女王、なーんか、むかつく!
 女神の果実がスライスされちゃう前に、なんとかしなきゃ、みつば!!」



もう手遅れ……。



そして、屋上に行き、水路で釣りをしているおじさんに話しかける。
ていうか、こんなところで魚が釣れるわけないが……。



おじさん
「なんですと!? 女王様の沐浴場に入る方法を教えてほしいですって?」
みつば
「いいえ」
おじさん
「そ、それならいいんですよ。
 私は、釣りをシュミにしているいたいけな中年。
 沐浴場なんて、キョーミないんですから。ハハハ……。」



結局素直に教えてほしいという



おじさん
「……何か深いワケがあるようですね。仕方がありません。とっておきの情報をお教えしましょう。
 ここを流れる水は、沐浴場に流れ落ちています。すなわち……!
 ここに飛び込めば、おのずと沐浴場までたどりついちゃうんですよ!
 しかし、ここから飛び降りたら大ケガするかもしれません! それでもいいんですか?
 ! なんですって! 以前、上空から滝つぼに落ちても大丈夫だったですって!?」



そう。どこかの居弱体質な探検家と違って ドラクエパーティーは、落下にはとても強い。



おじさん
「そ、そこまで言うなら見せてもらおうじゃありませんか! アナタの落ちざまを!」



みつばたちは、意を決して飛び込んだ!!
案の定、沐浴場の中に落ちてくる。



侍女
「キャーーーー!!!」
ユリシス
「ちょっと、あなた? ここがどういう場所かご存じ!? いったい、何をしに……
 もしかして、あなた……黄金の果実を取り返しにきたのかしら?
 アハハハハハ! もう手遅れだわ! 見ての通り、果実はぜ〜んぶスライスしてしまったもの!」



そのとき、アノンがスライスを食べる。
すると、アノンが巨大化して、大きなドラゴンの姿に!!
あたりに、悲鳴が巻き起こる。



ユリシス
「ひぃぃ! アノンちゃんがッ! アノンちゃんがぁーー!!
 キャーッ! たーすーけーてー!!」



アノンは女王を抱え、そのまま、沐浴場にあった井戸へと姿を消した。
ていうか、あのサイズでよく入れたな……。



侍女
「じょ…女王様がさらわれちゃった……。」



お前らはさわられてたけどな。



ひと段落したところで、みんなに話を聞いてみる。



侍女
「でも、これはきっと天罰よ! ワガママし放題の女王様に、天罰がくだったんだわ!」
侍女
「フン、いい気味だわ! このまま女王様がいなくなればいいのにって、みんな思ってるはずよ。」
侍女
「さっき、沐浴場から大きな悲鳴が聞こえたけど……。女王様の身に、何かあったのかしら?
 まあ、何かあったのだとしても、放っておきましょうよ。お城の中が静かになっていいわ。」
侍女
「着たくもない服を着せられたりして、アノンもメーワクそうだったもんね。その仕返しに違いないわよ。」
侍女
「えっ! ユリシス女王様が、井戸の中に連れ去られたですって!?
 それじゃ、ジーラお姉さまもクビにならずに済みますねっ。やったー!」



女王様の人望の厚さに、目頭が熱くなった。





さて、前にも言ったが、この世界には、名は体を表す的な人が多い。
ユリシスが百合なのは実証済みだが、シスの部分が今までよくわからなかった。



まさか、ユリシスって……百合死す!?



そして、ジーラに事情を話すと……。



ジーラ
「ご両親の愛をまともに受けられず、その上、心の友であるアノンにまで裏切られるとは……。」



核心をえぐりすぎている気もするが、ジーラは女王様を心配していた!
ジーラに女王様の救出を依頼されたみつばは、そういえば前にエルシオンで似たようなことが
あったような気もすると思いつつ、それは置いといて井戸の中へと乗り込む。



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