最終話・



みつばたちは、堕天使エルギオスを倒した!!!



エルギオス
「ばか…な……!?
 神をも超える力を手に入れたこの私が……。貴様に……人間ごときに敗れるというのか……!?
 …………くっくっくっくっく。あーっはっはっはっは!
 よかろう……今は、ひとときの勝利に酔いしれるがよい。だが……
 この世界は消滅するのだ!! 私の憎悪の力でッ! 愚かなる貴様もろともなッ!!!」



エルギオスは、紫色のオーラを放つ!



エルギオス
「グオオオオオオオッ!!!!」



その時……



やっと 見つけたわ……



ラテーナが飛んできた!



エルギオス
「…………!?
 ラ…テーナ…なのか……。
 ……私を裏切った人間の娘が、今さら何用だ!?」
ラテーナ
「エルギオス……あなたを、ずっとずっと探していた……。」



ラテーナの首飾りが光り、ラテーナの回想がエルギオスに伝わっていく。
そして、エルギオスの回想もラテーナに伝わる。



ラテーナ
「あの日、私はあなたを守れなかった。
 だから、ずっと探し続けたの。今度こそ、あなたを……。
 あなたを、救いたい……。絶望の闇の中で迷うあなたを……。」



ラテーナの心が通じたのか、エルギオスは元の天使の姿に戻った。



エルギオス
「……ラテーナ……。
 君は……私を裏切るはずなどなかったのだ。
 それに気づかなかった己の未熟さが恥ずかしい。
 ……ラテーナ。辛かっただろう。
 こんなにも永い年月を、愚かな私のためにさまよい……。
 それなのに、あの頃と変わらず、こんな私のために、微笑みを返してくれるというのか……。
 ……ラテーナ。君が裏切るはずがなかったんだ。
 ……私は……なんという愚かなことを……。」



エルギオスは、みつばの方を向く。



エルギオス
「もしお前が止めてくれなければ、怒りと憎しみに我を忘れ、私は全世界を滅ぼしていただろう。
 我が愚かなる行いの数々、償っても償いきれぬが……。
 せめて、罪を重ねずに済んで、よかった。
 ……天使みつば。
 お前は、我が弟子イザヤールを師と仰ぐ天使だそうだな。
 ……あいつはよき弟子を育てた。ふがいなき師である私を許せと、そうイザヤールに伝えてくれ。」
ラテーナ
「行きましょう、エルギオス。」
エルギオス
「…………ああ。」



ラテーナとエルギオスの姿が消え、光りが降り注ぐ。



どこからともなく、不思議な声が聞こえてくる……。



……みつば……



天使界の頂上にあった世界樹が光りを放ち、女神セレシアへと姿を変える。
セレシアはそのまま神の国のみつばの前にワープし、荒れ果てた神の国を元の姿に戻した。



悲しき魂を救い 世界を守ったのは
あなたです みつば
人であり 天使でもある あなたの
よき心 よき行いが
人間たちの世界を 救いました
そして 今……
長きにわたる 天使たちの役目も
終わろうとしています……




天使界が光りに包まれ、天使たちは光となって空へと上っていく。



星となった 天使たちは
永遠に 星空の守り人として
かがやきつづけることでしょう




セレシアとみつばは、天使界にワープした。



けれど みつば……
あなたには 別の役目が あります




セレシアが手をかざすと、天の箱舟がやってきた



みつば あなたは 人間として
人間たちの世界の守り人に
なってください……




天の箱舟が停まり、アギロが降りてくる。



神の国も 私も じきに あなたの目には
見えなくなるでしょう。
……お行きなさい みつば
あなたの……人間の 世界へと




みつばはうなずき、アギロと共に天の箱舟へと乗り込んだ。



……ありがとう……



星になった天使たちに見守られ、天の箱舟が出発する。



ねえ? だれか いるの?

いるのだったら 姿を見せてよ。
なにか 言ってよ。
そんな 人々の 声が聞こえる。

いったい いつの頃から
この世界を見守ってきたのだろう

ボクたちは 天使と呼ばれていた。




そして、天の箱舟は、アユルダーマ島の青い木のところに着陸する。
アギロとサンディも降りて、みつばと別れを惜しんでいた。



サンディ
「うぐっ、グスッ。
 なによお〜、これでお別れなんて、そんなのさみしいよお〜。」
アギロ
「しょうがねえだろ。みつばは人間になっちまったんだ。
 もう、住む世界が違うんだよ。」
サンディ
「そんなの、カンケーないじゃん!
 テンチョーのバカーッ!!」



サンディは、そのまま天の箱舟に乗り込んでしまった。



アギロ
「……しょうがねえなあ。サンディのヤツは。
 悪いなあ、みつば。あいつまだガキだからよ。許してやってくれや。」



アギロも天の箱舟に乗り込む。



アギロ
「じゃあな、みつば。お前の幸運を祈ってるぜ。」



汽笛を上げ、点の箱舟が出発する。
サンディは、走り出した天の箱舟の扉を開けた。



サンディ
「みつばーーーっ!!
 これまで一緒に旅して、けっこーおもしろかったよー!
 人間になっても、アタシとあんたは友だちだからねーっ!
 よーく覚えときなさいよー!
 あと……えっと……
 あ! そうだ!!
 最期だから、あんたにだけアタシのひみつ、教えたげるー!
 あのねーっ! アタシ……! ずーっとひみつにしてたんだけど……
 何をかくそう…じつは……! アタシってね……!!
 ……ネ……………に……
 …………………………!」



天の箱舟の姿はそのまま遠ざかり、サンディの声も聞こえなくなる。
そして、女神の果実が1つ、空から海へと落ちていくのだった。


The End


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