第115話・羊使いに大切なこと



みつばたちは、再戦の末、ついにシャルマナを倒した!



呪幻師シャルマナ
「カアアアアアアアア………………。
 まさか、人間ごときにわらわが敗れるなんて……。おのれ……。せっかくの魔力が……。」



シャルマナは消え、そこには、1匹のテンツクと、女神の果実が残る。
みつばは女神の果実を手に入れた!



遊牧民
「あれが、シャルマナの正体だべ……。」
遊牧民
「なんてこったい……。オラたちは、今まで、あんな魔物を信じていただか……。」



ナムジンとポギーは、シャルマナのところへ歩み寄る。



シャルマナ
「ヒ……ヒィーーー! たのむ! 許しておくれ!
 わらわは、なんのチカラもないんじゃ!
 ひとりぼっちで、遊牧民どもに怯える自分がイヤだったんじゃ!
 だから、草原で手に入れた果実を食べ、願ったのじゃ! わらわを強くしてくれと!
 絶大な魔力を手に入れ、自分を抑えられなかったんじゃ。うう……。見逃しておくれ……。」
ナムジン
「お前のやろうとしたこと……。それは、決して許されない。
 だが、チカラを失ったお前を倒したところで……。もはや、何の意味もない。」



ていうか、お前、倒れてただけだよね。



ナムジン
「どこへなりともゆくがいい。だが、ひとつだけ条件がある。
 ボクの大事なともだち。このポギーと、お前も今日からともだちになってもらおう。
 もう、ひとりで怯えなくていい。これからは、ポギーが一緒だ。」



ナムジン
「ポギー。それでいいかい?」
ポギー
「グギギ!!」



ポギーは激しく頷く。



ナムジン
「ありがとう! ポギー! さあ、シャルマナ! はやく行け!」
シャルマナ
「なんと心の広いかたじゃ。もう二度と悪さはせぬ……。すまぬ……。すまぬ……。」



土下座しまくるシャルマナ。
そして、ポギーとシャルマナは、草原へと駆けていった。



ていうか、その猿、草原で倒れてたんだよね? 大丈夫か?



みつばのはたらきで、おだやかな草原が戻った。
みんな眠るのも忘れ、宴を楽しんだ。
そして、夜が明けた。



広場で族長の話があるというので、聞きに行く。



ラボルチュ
「よく聞け! カルバドの民よ! オレは族長の座を降りる!」



そりゃ、非常時に自分のパオに閉じこもってただけだからな。



ラボルチュ
「未熟だと思っていた息子は、いつの間にかこの父を超えていたようだ……。」



むしろ、お前が不適格なんじゃ……。



ラボルチュ
「今のお前になら、安心して託すことができる。今日から、お前が族長だ!!
ナムジン
「私が族長ナムジンである! よく聞け! カルバドの民よ!
 私たちは、誇り高き遊牧民族! 何者にも縛られず、道を切り開くのが私たちの生き方だ!
  自分たちのモノでないチカラに頼り切るなど、誇りを捨てたも同じこと!



回想

ナムジン
「うう……。なんて強さだ……。一撃でこのザマなんて……。
 頼れるのはあなたしかいない……。お願いだ、みつばさん……。
 カルバドを守ってください……。」


回想終了



……。



ナムジン
「いいか、みんな! 遊牧民の誇りを忘れなければ、自分を見失うことはない!
 強くなるのだ! カルバドの民よ!」



まずはお前が強くなれよ。



遊牧民の族長に大切なのは、
自分の失態を棚に上げる
心の広さなのかもしれない。



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