第03話・勇敢!?





気がつくと、澪は高い塔の中にいた。



商人男
「おや? あんたもわざわざここまで試練を受けに?
 いや、私もなんですがね。
 しかし、のぼってみると下から見るのと大違い
 私はもうやめて戻ろうかと思ってるんですよ。わっはっはっ!」


「……し、試練?」

商人男
「いや〜、こんなに怖いと思いませんでしたよ。わっはっはっ!」



少し北側に行くと、壁が途切れている部分があって、
そこに何人かの人が並んでいた。
怖いけど、間違って落ちないように、列の一番後ろにいた老人に話を聞いてみる。



老人
「なんじゃい? 飛び降りるんなら、さっさとわしの後ろに並ばんかい。」



あんですとーっ!?




(塔から飛び降りるなんて、見えない、聞こえない……!!)



こわくて すすめない!



澪はたまらず、塔を降りる階段の前にいる兵士に話しかける。



兵士
「うん? 戻りたくなったのか?」

「はい!!!!」
兵士
「そうか、それもいいだろう。
 戻るならそこの階段を降りて行くがいい。」



澪は、迷わず階段を降りた。
すると、再び景色が揺らぎ……。



全てを司る者
「私は全てを司る者。
 今、あなたがどういう人なのかわかったような気がします。

 澪、あなたは何事にもマイペースで、周りからはクールな人と思われているようです。
 でも、それは表面的にそう見えるだけ。
 心の中には、いろんな思いがひしめきあっていることでしょう。

 人とはあまり深く付き合おうとはしませんが、本当は凄く寂しがりやです。
 もう少し、自分の方から人に打ち解けてゆくようにしましょう。
 そうすれば、あなたにとっての生涯の友人が見つけられるはず。
 もう一人ぼっちではありません。

 ……と、これがあなたの性格です。」



当たりすぎだろ!!!



全てを司る者
「さあ、そろそろ夜が明ける頃。
 あなたもこの眠りから目覚めることでしょう。
 私は全てを司る者。
 いつの日か、あなたに会えることを楽しみに待っています……。」



それは、澪が16歳になる誕生日のことであった。
雑然とした部屋で、澪は目を覚ます。




「起きなさい。起きなさい、私のかわいい澪や。」


「おはよう、澪。もう朝ですよ。
 今日はとても大切な日。澪が王様に旅立ちの許しをいただく日だったでしょ。
 娘のお前をこの日のため、勇敢な男の子のように育てたつもりです。」



嘘つけ!!



みお
しょくぎょう:ゆうしゃ せいかく:さびしがりや
せいべつ:おんな レベル:1





「さあ、母さんについていらっしゃい。」



澪は、母親と一緒に家を出て、城の前まで進む。




「ここからまっすぐ行くとアリアハンのお城です。
 王様にちゃんとあいさつするのですよ。さあ、行ってらっしゃい」



……まっすぐゴー!



澪は、内心嫌だなと思いつつも、王様に会うために城へと向かった。


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