もしもあしたがはれならば








前回の冒険で得た経験点は、レイディア組が4016点+1ゾロ分。
カトレア組が5220点でした。






G   M:それぞれ幹部1人倒してますので、ここで一区切りにしておかないと、
      これから負けた方が経験点の面でちょっとかわいそうなことになります。
      戦闘直前ですが、今のうちに成長してください。
      これからの戦闘に使いそうな技能を成長させても構いません。
      なお、不意打ち判定は終わったので、
      レンジャー上昇は即効性がないと思います。

レイディア:これ以上上げるところがないわ。

フアナ  :……同じく……。

トゥエリ :ファイターを10レベルにしますヨ。

ディース :へっ。俺もだ。

カトレア :んー、シーフを一気に4レベルにしましょうか。

マリア  :ファイターを上げたいが、あと502点足りぬ。

G   M:オドソフは上げるところがありません。






G   M:さて、これまでの経緯をおさらいしておきましょう。
      レイディア達は、なぜか襲い掛かってきたイングィーを捕縛。
      ボスの所在に心当たりがあるというイングィーを脅迫して説得し、
      彼を連れて進み始めました。
      そこに、ミゴリの導きでカトレア達が到着したわけですね。
      当然ですが、お互い、自分の経験していないことについてはわかりません。
      レイディア組としては、おそらく東方面からカトレアが戻ってきた
      であろうことはわかりますが、その理由は推理に頼るしかありません。
      カトレアの発言から判断するに、イングィーかピニーズを
      追ってきたのでしょう。そして、一番の問題点は、
      レイディア組がカトレアの精神力強化を知らないことです。
      カトレア組としては、まずレイディアの連れているひげ面の男の
      正体がわかりません。およそ役人の風体ではなく、
      むしろどちらかというと山賊風です。
      これについても、レイディアが雇用した用心棒と判断するしかありません。

G   M:では、次に、この戦いにおけるそれぞれの最重要目的を整理しましょう。
      もちろん、目的達成の経験点にも影響します。
      便宜上全て書いておきますが、本人以外にわからないものもあります。

レイディア:どうもこの子がカギみたいね。なんとか守りきりたいんだけど。

G   M:レイディアについては、ピニーズを殺害・略取されないこと。
      無理に勝利する必要はなく、カトレアから逃げおおせても目的達成です。
      なお、イングィーについては、まだボスの所在を吐いていない以上、
      守る義理は全くありません。

レイディア:まずは、フアナをなんとかしないと……。

トゥエリ :無策でつっこんでくるとはとても思えませんけどネ。

G   M:トゥエリについては、レイディアが殺害・略取されないこと。

トゥエリ :当然デス!

ディース :ま、なるようになるだろ。

G   M:ディースについては、自身が殺害されないこと。

ディース :へっ。楽勝だぜ!

フィーエル:レイディアさんは、ぼくが守る!

G   M:フィーエルについては、ピニーズ又はレイディアが殺害されないこと。

フィーエル:あう! ぼく、がんばるよ!

G   M:オドソフについては、契約を果たすこと。
      ピニーズについては、自身がカトレアに殺害・略取されないことです。

フアナ  :……。

G   M:フアナについては、自身が殺害されないこと。

フアナ  :……。

カトレア :んー。勝つしかないんですけどねー。参ったなー。

G   M:カトレアについては、ピニーズを略取又は生贄にすること。

カトレア :僕にはミゴリの加護がありますから。

マリア  :我はどうなろうとも、レイディアだけは守るぞ。

G   M:マリアについては、レイディアが殺害・略取されないこと。
      加えて、レイディアが重傷を負って気絶しないことです。

マリア  :我だけ厳しい気もするが、よかろう。

G   M:最後に、戦術面についての確認です。
      基本は、レイディア組対カトレア組です。
      オドソフは契約に従ってレイディア組に、
      そして、ピニーズはカトレアに略取されると父親を止めるという目的を
      果たせそうにないと考えたことから、レイディア組についています。
      行動宣言はグループ別に知力順。
      今回はピニーズ20対フアナ20、レイディア18対カトレア18、
      トゥエリ17対マリア12ということで、
      レイディア組にアドバンテージがあります。
      さらに、グループ内での行動宣言順は、
      グループ内で知力の低い順となります。
      ただし、1ラウンドごとに全員で合意して意思を疎通することにより、
      このグループ内のルールは無視できます。
      要するに、不意に裏切られるリスクが常に存在し、
      裏切りが起こった場合は、知力が高い方が察知できるということです。

G   M:そして、戦闘開始前の状態について。
      レイディアが生命力に3点ダメージ、精神力を6点消費しています。
      (ディスペル1回、カンタマ5人分。)
      応急手当を受けたばかりのイングィーは、残り生命力1点です。
      レイディア組は、戦力外とみたピニーズと、失敗したフィーエル以外に、
      カウンター・マジックがかかっています。
      配置は、レイディア組の前衛がトゥエリ、ディース、フィーエル。
      後衛で、オドソフが縛られたイングィーを確保。
      同じく後衛で、レイディアとピニーズ。
      カトレア組の前衛がマリア、フアナ。
      後衛に、カトレア。

G   M:では、1ラウンド目の行動宣言をどうぞ。

マリア  :……我が裏切っても、読まれるのか……。






この前の村の一件で、マリアはカトレアに不信感を抱きました。
できればすぐにでもレイディア側につきたいのですが、
カトレアが勝った後のレイディアの安全を人質にとられた形になり、
レイディアが勝つまでは裏切れません。
さて、実はカトレアが一番恐れる相手は、マリアなのです。
マリアは生命力が高い上に、暗黒魔法で身体の自由を奪えない可能性すらあります。
いくら精神抵抗力が上がっても、驚異的な腕力から繰り出される
物理的な絞めには勝てませんから。
そして、カトレアがマリアに対して確実にダメージを与えられる手段が、
フォース・イクスプロージョン。
マリアはこういった攻撃魔法に弱いイメージがありますが、この戦闘に限っては、
カトレア以外の全員が自発的に回復できない以上、生命力が高い分有利です。
つまり、攻撃魔法はイメージほど脅威ではありません。
しかし、そのマリアが一番恐れる相手は、フアナ。
テレポートで遠くに飛ばされた場合、
古代語魔法6レベルでテレポートが使えないマリアは、自力で帰って来られないのです。
マリアとしては、そういった事態は避けなければいけません。






フアナとしては、カトレアのフォース・イクスプロージョンほど怖いものはありません。
精神力を犠牲にしてブレッシングを展開したところで、
クリップルからは逃れようがありません。
このように、カトレア組は、期せずしてちょうど
三すくみのような関係になっているのです。






マリア  :フォース・イクスプロージョンは食らいとうないしのう。
      そして、我が仲間でおる限り、レイディアが
      フォース・イクスプロージョンに巻き込まれることはあるまい。
      ……ひとまずカウンター・マジックじゃ。
      我と、フアナと……カトレアに。

カトレア :参ったなー。どうしたらいいですかねー。






一見無敵に思えるカトレアですが、神頼みで不安定なコール・ゴッド以外には、
探知や移動に使える有用な魔法がありません。
したがって、マリアとフアナはできる限り手元に残しておきたいところです
(裏切られるリスクを承知した上で、なお頼らざるをえない、ともいいます。)。
ここで、カトレアの選択肢は、主に2つ。
1つは、フアナを使うなどしてマリアを無力化した後、
戦闘中盤に全員傷ついてきたタイミングを見計らって、
味方もろともフォース・イクスプロージョンを唱え、削り勝ちを狙うこと。
10レベル相手に対しても最低3点+レーティングのダメージが毎ターンですから、
回復魔法のない相手には、かなりの確率で削り勝てます。
1つは、フアナとマリアを味方にしたまま、
暗黒魔法でレイディアたち全員を無力化すること。
クリップルは精神力の消費が激しいものの、メズマライズで代用可能です。
そして、カトレアは後者を選択します。
実は、前者については選択できない理由が別にあるんですが。






ただ、ピニーズについては、完全に計算外でした。
ピニーズのせいで先に行動宣言することを余儀なくされたため、
レイディアのマジック・リフレクションを警戒して、個人を目標とする魔法で
レイディアを無力化しようとすることができなくなってしまいます。






カトレア :レイディアさん以外の敵全員に、メズマライズです。

フアナ  :……。






フアナは、何の躊躇もなく暗黒神を降臨させるカトレアを強く警戒しています。
しかし、生命力の低いフアナにとって、フォース・イクスプロージョンは天敵です。
一撃で気絶する危険があるばかりか、それを唱えられるような状況では
回復もしてらえないでしょうし、気絶した後にまた唱えられないとも限りません。
そして、バルキリー・ブレッシングを使っても、クリップルは防げないのです。






さて、一見最悪の相性のようですが、フアナは、
敏捷度と知力の双方においてカトレアに勝っています。
つまり、カトレアを裏切って不意を打つとすれば、最も適役というわけです。
具体的には、カトレアがフアナを裏切ろうとした時点で、事前に察知して、
達成値拡大のテレポートで強制離脱させられる可能性があります。
限界まで拡大したテレポート達成値+2なら、基準値は12。
抵抗力12+2のカトレアにとっては脅威です。
もっとも、フアナが知らないだけで、実際の抵抗力は12+4なわけですが。
そして、精神力を温存するために、相手側の戦士3人に対して最も有効な
ブレード・ネットは使いません。これについては、
レイディアのディスペルを警戒して、などといった言い訳も可能ですから。
結局、フアナは様子見を選択します。

さて、ひげ面の男がオランで雇用した精霊使いである可能性もかなり高いことから、
本来であればサプレス・エレメンタルの使用も視野に入る場面です。
しかしながら、仮に魔法を封じられて負けたところで、
レイディアが自分に過ぎた危害を及ぼすとは考えられないことから、
そちらに関してはひとまず無視します。
そして、とりあえずこのラウンドは、自衛力を上げておくことにします。






フアナ  :……ヘイスト……。






このように、マリアはカトレアに強く、カトレアはフアナに強く、
フアナはマリアに強いという状況下にあります。
それを理解した上で、カトレアは事前に、勝利後のレイディアの安全を人質に取りました。
こうされると、マリアは率先して裏切ることが難しくなってしまうからです。






G   M:続いて、レイディア組の行動宣言。

レイディア:こっちは組織立って動くわよ。いいわね?

トゥエリ :はい。

フィーエル:あう!

ディース :今更何言ってんだよ。

オドソフ :問題ない。

ピニーズ :うん。

G   M:なお、カトレアの行動については、未知の暗黒魔法を詠唱し、
      レイディア以外の6人(オドソフ、ピニーズ、イングィー含む)を
      狙っていることしかわかりません。
      もっとも、クリップルの詠唱は聞いたことがあるので、
      それと同一でないことはわかりますが。

レイディア:6人にいっぺんに唱えられるってことは、たいした魔法じゃないわね。

トゥエリ :基本消費精神力20以下で、4レベル以下の魔法ってことデスからね。

レイディア:コール・ゴッドについては知ってるのよね?

G   M:神聖魔法及び暗黒魔法については、
      その神の存在自体知らない場合を除いては、
      遺失呪文と追加呪文以外(つまり、神ごとの特殊魔法も)、
      マリアの本で調べて知ることができます。
      ただし、神聖語及び暗黒語を理解できないので、
      聞いたことのない魔法の詠唱は理解できません。
      そして、暗黒魔法のコール・ゴッドは基本暗黒魔法ですので、
      思いっきり知っています。
      反面、カトレアはソーサラー技能もあるので、
      古代語魔法の遺失呪文と追加呪文についても、
      マリアの本で知ることができます。
      そして、知っている魔法については、詠唱を聞けばわかります。
      本来であれば存在を知っているマジック・リフレクションは
      怖くないんですが、行動宣言が相手より前ですので、
      常に警戒していないといけません。

レイディア:別れた時点で覚えてたブレード・ネットすら飛んでこないってことは、
      フアナは様子見ね。フアナには、適当に手加減して戦って。

ディース :くししし。わかってるって。

レイディア:まず、カトレアの回復を封じるしかないわね。
      私がカトレアにライトニング・バインド。
      リムーブ・カースで消せるからそれほど痛くないわ。
      生贄になりうるイングィーはオドソフが後列で死守。
      ピニーズは後列で待機。
      フアナにはディース、マリアにはフィーエル、トゥエリはカトレアに突撃。
      異議とかないわね?

ディース :じゃ、俺、素手でフアナ押え込むから。

フィーエル:あう。回避専念。

トゥエリ :槍で移動攻撃デスよ。

オドソフ :心得た。






G   M:では、1ラウンド目の処理に移ります。
      オドソフはイングィーにつきっきりです。縛られているイングィー
      については、オドソフが健在である限り、何もできません。
      まず、敏捷度22のピニーズは、することがありません。
      次、敏捷度20のフアナ。

フアナ  :……ヘイスト……(ころころ)17。

G   M:フアナの敏捷度が、2倍の40になりました。
      回避力も+3されます。
      次、敏捷度18のマリア。

マリア  :カウンター・マジックじゃ! 
      (ころころ)カトレアだけ1ゾロじゃ……。

G   M:偶然とはいえ、できすぎですね。
      もっとも、カウンター・マジックのようなミゴリの加護で抵抗力が
      上がっていて、元々カウンター・マジックとは重複しなかったんですが。
      なお、カウンター・マジックの不発が故意でないことは、
      詠唱を理解できるカトレアにはわかります。
      次、敏捷度16のカトレア。

カトレア :メズマライズ!×6
      (ころころ)トゥエリさんに20、ディースさんに20、
      フィーエルさんに19、髭の男に24、イングィーに21、
      ダークエルフに20です。

G   M:抵抗は(ころころ)トゥエリ21で抵抗、ディース18で抵抗失敗、
      フィーエル16で抵抗失敗、オドソフ1ゾロで抵抗失敗、
      イングィー15で抵抗失敗、ピニーズ13で抵抗失敗。
      ディースとフィーエルは出目が悪すぎました。

カトレア :前進を命じます。

G   M:レイディアとトゥエリ以外は、全員ゆっくりと前に歩き始めます。
      生贄候補のイングィーやピニーズまで歩いています。
      ピニーズの離脱は、当然、次のラウンドの行動宣言に影響します。
      そして、カトレア以外で意識がある全員、ほぼ確実に
      未知の暗黒魔法の効果によるものだろうというのはわかりますね。
      イングィーはオドソフを縛ったロープを手に結んだままですが。
      敏捷度15のディースが前進して、次は敏捷度14のトゥエリですね。

トゥエリ :覚悟っ!! 移動攻撃で(ころころ)26デス。

カトレア :(ころころ)15。避けられるわけがないですね。

トゥエリ :ダメージが(ころころ)11でクリティカル、
      (ころころ)止まって、23点デス。

カトレア :……(ころころ)12点止めました。

G   M:ダメージ11点で、生命力がちょうど0点ですね。
      生死判定は(ころころ)出目8で、余裕で生きています。
      回復役がいないので、カトレアは離脱確定ですが。

カトレア :……そ……んな……っ。

G   M:さて、レイディアとトゥエリ以外がカトレアの魔法を受け、
      レイディア組の戦線が崩壊。しかし、一気に飛び出した
      トゥエリの槍に肩口を貫かれ、カトレアが倒れます。
      次に、敏捷度12のレイディア。

レイディア:キャンセルするに決まってるじゃない。

G   M:敏捷度7のフィーエルが歩き、1ラウンド目は終了です。
      2ラウンド目ですが、どうしますか。

フアナ  :……敏捷度40で、降伏……。

マリア  :これ以上続ける理由もないしのう。

レイディア:終わりね。カトレアに駆け寄るわ。





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