山賊
G M:では、隊商は進み、4日目の夕刻。
あと1時間もすればオランの街というところで、
不意に街道の外から男たちが走ってきて、馬車の進路をふさぎますね。
不意打ち判定を。
ディース :今日はお客さんが多いなー。
レイディア:この時間のないときに……。
トゥエリ :歩いて数時間分の距離があれば、ワイバーンと縄張りは別かもしれませんネ。
G M:(ころころ)不意打ち判定は、レイディアの11が最高で、敵が18ですね。
トゥエリ :それ、まずくないデスか?
レイディア:こっちの知能が高いから、+7でも不意打ちは無理よ。
G M:はい。ギリギリで不意打ちはありません。敵はどうやら山賊団のようです。
20人ほどが隊商を取り囲んでいますね。囲まれてるので逃げられません。
山賊首領 :我らは、斜陽山賊団!
ディース :すぐ潰れそうなネーミングだな。
山賊首領 :護衛つきの商人を襲わなきゃやってられないとは、世知辛い世の中だ。
だが、オレらは強いぞ。降服した方が身のためだ。金目の物は置いていけ!
トゥエリ :しかし、王都の近くに陣取るとは、かなりの自信デスね。
フィーエル:あう。強そう?
G M:知名度判定……の必要もないですね。全員セージですから。
大国の王都付近でこんなことするだけあって、下っ端ですら、
並みの山賊の首領(3レベル)程度の強さはありそうです。
首領はキャラクター扱いですから、強さは不明ですが。
レイディア:フアナさえいれば、スリープ・クラウドが速く飛ぶんだけど……。
トゥエリ :あの人、1人だけ無茶な能力値デスからね。
ディース :へっ。3レベルが何匹いようが、俺に勝てるわけねーよ。
レイディア:そうね。できたらあんまり殺したくないってだけで。
トゥエリ :ていうか、この規模の隊商に雇われる護衛に勝てる気なんデスかね?
フィーエル:あう。やぶれかぶれ。
山賊首領 :何をごちゃごちゃと……。
G M:ちなみに、別口で雇われていた5レベルの護衛団は、
事前の打ち合わせ通りに、何組かに分かれて幹部の護衛に専念しています。
世の中には、陽動作戦を使う山賊もいますからね。
トゥエリ :結局、自力で倒すしかないわけデスね。
レイディア:せめて一騎討ちにしてもらえない?
山賊首領 :ふざけるな!!
レイディア:逃げる奴は追いかけないから。
山賊首領 :?
レイディア:無駄だと思うけど、逃げなかったら死ぬからね。
山賊首領 :なんだと!?
レイディア:ま、聞くわけないわよね……。
フィーエル:レイディアさんの、前に出る。
G M:では、行動宣言を。
山賊首領 :よし。 A軍はその男に突撃! B軍はそっちの男だ!
G M:ディースとフィーエルに、それぞれ10人ほど向かってきます。
ディース :おっしゃ、ナイス、レイディア!
G M:首領はリーダーらしきレイディアを狙おうとしますが、
その前にフィーエルとトゥエリがいるので果たせません。
首領は(ころころ)トゥエリを攻撃。
レイディア:フィーエル、棒。
フィーエル:あう。わかった。
レイディア:私は温存するわ。あんたたちは、フィーエルの攻撃で残った奴を狙うのよ。
ディース :ちっ、仕方ねーな。
トゥエリ :了解デス。
G M:では、遅らせてない人は敏捷度順に。ちなみに、山賊たちは全部12です。
山賊の攻撃がディースに10回(ころころ)全部ハズレ。
山賊の攻撃がフィーエルに10回(ころころ)1回1ゾロで当たり、
ダメージは止まります。
首領は(ころころ)9でトゥエリを攻撃。
トゥエリ :(ころころ)基準値だけで11ありますからネ。当たりませんヨ。
フィーエル:タクトを、振る!
G M:視界内の任意の目標全てに対して、衝撃波が発せられます。
抵抗の目標値は使用者の現在の精神点で22なので、
ザコは6ゾロでも抵抗不能。首領は(ころころ)14で抵抗失敗。
減少後のダメージが(ころころ)フィーエルを囲んだ山賊に、
5、6、7、7、11、14、7、11、10、5。
1人倒れて、生死判定が(ころころ)成功。
ディースを囲んだ山賊に、5、5、9、4、6、4、9、4、4、4。
首領に(ころころ)3。
トゥエリ :首領に向かって、手加減で移動攻撃しますかネ。(ころころ)21。
G M:山賊首領は(ころころ)6ゾロで回避です。
レイディア:あんた、何やってんのよ!?
トゥエリ :すっ、すみません!
ディース :ザコを手加減で殴るぜ。(ころころ)19。
ダメージは(ころころ)12しかねーや。
G M:ちょうどあと1点で倒れません。
ディース :ありゃ?
レイディア:どうせ1ラウンド10秒だから、ちょっとくらい外しても問題ないわ。
G M:2ラウンド目の行動宣言。残り生命力3点以下の者は逃亡を試みます。
レイディア:ま、無駄に殺すこともないか。逃げた奴はほっといていいわ。
フィーエル:あう。
G M:首領は妙な武器を持っているとわかったフィーエルを狙いたいのですが、
目前のトゥエリに後ろをとられるのが怖くて、果たせません。
フィーエル:あうー。かわいそうだから、パンチする。
G M:では、順番に。
ディース :剣の柄で殴るぜ。(ころころ)当たって、10点通し。
G M:山賊Lは倒れて(ころころ)生死判定は成功です。
トゥエリ :魔法は使わないようデスし、相手にわかるように行動を遅らせますかネ。
G M:では、山賊の攻撃がディースに6回(ころころ)当たりません。
山賊の攻撃がフィーエルに6回(ころころ)当たりません。
首領は(ころころ)12でトゥエリを攻撃。
トゥエリ :(ころころ)17で避けましたヨ。
フィーエル:あう。杖で、殴る。(ころころ)10点、通った。
G M:山賊Aが倒れて(ころころ)生死判定は成功です。
トゥエリ :手加減して首領を攻撃しますかネ。(ころころ)21。
G M:首領は(ころころ)17で、避けられません。
レイディア:ボスはけっこう強いわね。私より強いっぽいわ。
ディース :そりゃ当たり前だ。
トゥエリ :ダメージが(ころころ)手加減してたのでクリティカルなしで、17点デス。
G M:(ころころ)11点止めて、6点通りました。残り生命力6点です。
ディース :こりゃ、山賊にしとくにゃもったいねーな。
レイディア:……そうね。
G M:では、3ラウンド目の頭に、首領が剣を捨て、降伏を申し入れます。
首領 :……降参だ。オレは何でもするから、あいつらは見逃してやってくれ。
ディース :やけに素直だな。
G M:首領は、こんなとこで山賊するだけあってわりとアホですが、
思いっきり手加減されてることくらいはわかりますので。
トゥエリ :勝ち目はありませんし、逃げようとしても私の一撃が入りますからネ。
レイディア:あー。じゃ、ボス以外は逃げていいわよ。
G M:立っていた山賊たちは逃げていきますが、
視界内なので、フィーエルのタクトは有効です。
フィーエル:あうー。逃がす。
G M:では、倒れて意識のない山賊3人と、自分の意思でとどまった首領を残して、
山賊たちは逃げていきます。
トゥエリ :とりあえず、物陰に連れていきますヨ。
レイディア:で、あんたは何されても文句言えない立場なわけだけど。
首領 :……別に。オレは死ぬのは怖くない。
レイディア:まあ、あんた殺しても、私らは潤わないわけだけどさ。
首領 :何が望みだ? ……金は無いぞ。
レイディア:ていうか、あんた1人ならどこでも食いつなげるわよね。
トゥエリ :確かに、この人だけかなり強いデスよね。
首領 :……。
レイディア:手っ取り早く大金がいるんでしょ?
首領 :!!?
ディース :へぇー。遊ぶ金欲しさ、ってか?
レイディア:いや、仲間見捨てて逃げなかったあたり、多分違うわ。
トゥエリ :そういえば、一般人相手にいきなり矢を撃ったりはしてきませんでしたネ。
フィーエル:いい人?
レイディア:いや、私らが弱かったら普通に殺されてるんだけど。
ディース :へっ。相手が悪かったな。
レイディア:あんた、逃げた奴らに脅されて、仕方なく首領のフリしてたのよね。
首領 :は?
レイディア:(小声で)命が助かって、お金も手に入る方法があるんだけど?
首領 :……?
トゥエリ :はぁ。(嘆息) レイディアさんの考えそうなことデスね。
ディース :こいつ仲間にする気か!? そりゃまずいだろ!
フィーエル:あ、あうー。
首領 :……な、何が望みなんだっ!?
レイディア:聞いてるのはこっちよ。どういう理由でいくら欲しいわけ?
首領 :…………金が必要な理由だけは、勘弁してくれ。
レイディア:トゥエリ、有り金全部そこに広げなさい。
トゥエリ :わかりましたヨ。では、手持ちの宝石を全部……。
G M:3万ガメル分の宝石が出せますね。価値は明らかです。
首領 :……。
レイディア:私らの実力があれば、そのくらいはポンと出せるわけよ。そいつ1人で。
首領 :……。
トゥエリ :吐かせる魔法もあるんデスけど、できれば自発的にお願いしますヨ。
レイディア:いつまでに、いくら必要なわけ?
首領 :……今すぐに、5万必要なんだ……。
レイディア:まあ、この規模の隊商捌いたら、首領のあんたは5万どころじゃないわね。
トゥエリ :でも、普通の必需品の値段じゃないデスね。借金デスか?
フィーエル:あうー。いす? つくえ?
ディース :桁が全然違うだろ!!
トゥエリ :しかも、急に必要になる必需品でもないと思いますヨ。
レイディア:それは5万あったら、確実に手に入るわけ?
首領 :……。
ディース :病気か?
首領 :!!
G M:首領の目が見開かれます。
レイディア:(いいタイミングでカマかけたわね。)ふん。図星のようね。
フィーエル:あうー。それでも、人のお金を盗るの、よくない。
首領 :……仕方なかったんだ……体が少しずつ石になる病気になって……。
G M:では、セージ技能で判定を。
(ころころ)レイディア17、トゥエリ15、ディース16、
フィーエル13で、知名度が14なので、フィーエル以外全員知っています。
石皮病ですね。首領の話によると、現在の深度は3のようです。
既に腰まで石化していて、あと数週間で死亡というコースですね。
フィーエル:あうー。わかんないー。 ←出目10、セージ3レベル、知力ボーナス0。
レイディア:確かに、それは生半可な薬じゃ治らないわね。
ディース :くししし。ピンポイントで不幸だよな。
トゥエリ :いや、笑い事じゃないデスって。
レイディア:近場なら手配できなくもないけど……オラン?
トゥエリ :それなら、街で盗みを働かなかった理由も説明がつきますガ。
首領 :……。
レイディア:(値段は適正ね。オランの町なら、お金さえあればなんとかなるっしょ。)
ディース :つーかさ、俺ら、急がないとまずいんじゃね?
レイディア:どういうお金か調べられて、断られたらどうするつもりだったの?
首領 :……え?
レイディア:そりゃ聖職者なんだから、汚いお金受け取ったらまずいと思うけど。
トゥエリ :稼いでなさそうな人にそんな大金持って来られても、不審デスよね。
G M:首領は、がっくりと膝をつきます。
首領 :……オレは、どうしたらいいんだ……。
レイディア:私が助けてあげるわ。
首領 :!!?
レイディア:契約に応じなさい。今から契約書作るから。
首領 :……契約?
レイディア:まだ生きてるんなら、全力で助けるから。
G M:首領は逃げることもできず、事態を見守ります。
そして数分後、契約書が完成しました。
契約書
一.雇用者は、被用者の指定する一人の者の病気を完治させなければならない。
一.雇用者は、上記の目的を達成するため、あらゆる金銭的負担を惜しんではならない。
一.雇用者は、この契約締結以前の被用者の一切の行動を許す。
一.被用者は、雇用者に直接的又は間接的に危害を加えてはならない。
一.被用者は、雇用者の指示に従わねばならない。
一.被用者は、雇用者を裏切ってはならない。
一.被用者は、雇用者の指示に従うにあたって生命の危険が伴うことを理解し、了承する。
レイディア:こういう契約でどう?
首領 :…………それであいつを助けてくれるのか?
レイディア:受けるんなら、あんたに『契約に反してはならない』呪いをかけるけど。
首領 :……ギアスか……聞いたことがある。
レイディア:へぇ、知ってるんだ。
フィーエル:あう。すごい。
ディース :なんで知ってんだ? すげーな、お前。
トゥエリ :発動体らしきものは持ってないデスよね。
レイディア:元々殺されててもおかしくないんだから、過ぎた制約じゃないわよね?
首領 :死ぬ覚悟ならできている。
レイディア:殊勝な心がけね。
首領 :妹を助けてやってくれ……頼む!!
ディース :妹だったのかよ。……で、やっぱ、かわいいの?
レイディア:……じゃ、抵抗しないでね。
首領 :ああ。
レイディア:ギアス『契約に反してはならない』……(ころころ)21!
G M:首領は抵抗しません。達成値21のギアスがかかりました。
レイディア:ふう。じゃ、生きてる奴助けるわよ。あんたも手伝いなさい。
首領 :……あいつらも、助けてくれるのか?
レイディア:依頼人に怒られそうだけどね。
首領 :ありがたい……。
レイディア:武器だけ奪って、逃がすから。
G M:息のある山賊は3人。レンジャー技能を持つレイディア、トゥエリ、
そして首領の3人により、30分ほどで息を吹き返し、
不思議そうな顔をしながらも各々逃げていきます。
隊商の人間の大部分は不愉快そうですが、今までの数々の働きもありますし、
表立って文句を言われることはありません。
ディース :つーか、逃がしてよかったのか?
レイディア:この程度のザコだけなら、たいした悪さはできないしね。
トゥエリ :この国は騎士団が強いデスからね。
レイディア:私は依頼人に話通してくるから。
首領 :オレはどうすればいい?
トゥエリ :あなたは……よかったら名前教えてくれませんかネ?
首領 :オドソフだ。
トゥエリ :オドソフデスね。よろしくお願いします。
ディース :くししし。お前より下ができたな。
トゥエリ :そういうのではないデスよ。オドソフは、指示のないときは私と一緒に。
オドソフ :契約に従おう。
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