将軍へと








G   M:小屋の中で、椅子に腰掛けた2人の騎士が話しています。

タンザ  :いやあ、見事なもんだ。さすがは天下の車輪騎士団の元将軍だ。
      お前なら、また将軍として中央に返り咲けるだろ。

ロベール :……ほめ言葉と受け取っておくよ。ありがとう。

タンザ  :どうして、敵の逃げ道がわかったんだ?

ロベール :地図を見たら、見えてくるだろう?

タンザ  :……道はたくさんあるんだが?

ロベール :将軍になったら、誰だって見えるさ。

タンザ  :ははっ。無茶言うなよ……。……でな?

ロベール :何だ?

タンザ  :例のアレの犯人のこと、探ってたそうだけど……。

ロベール :……ああ。昔の話だ。どうして今頃?

タンザ  :……ちょっとした知り合いが殺されてな。

ロベール :……そうだったのか……。

タンザ  :お前のことだ。何か掴んでるんだろ?

ロベール :資料を読んだだけで、何かわかると思うか?

タンザ  :教えてくれ! これからも、お前のことは全力で守るから!

ロベール :……今から言うことは、誰にも話すなよ。いいな?

タンザ  :ああ! 約束する!

ロベール :残念だが、領内どころか、おそらく、国内にもいない。

タンザ  :それは、どういうことなんだ!?

ロベール :襲われた場所を順に並べてみろ。
      明らかに、移動しながらやってる。当然、国境も越えただろうな。

タンザ  :捕まるだろ!? 関所破りなんて……。

ロベール :捕まらない。関所は正規の手段で通ればいい。

タンザ  :

ロベール :ずっと領内にとどまっていたら、騎士に露見するだろう?

タンザ  :さっきから、何を言ってるんだ?

ロベール :目撃者がいないということは、囲んで逃げられないようにしたということだ。
      何人必要だ?

タンザ  :……じゅ、10人……?

ロベール :通常だと、最低でも20人は必要だ。30人いたかもしれないな。

タンザ  :そんな大集団、ほとんど隠れようがないだろう……。

ロベール :盗品はどうやって運ぶ?

タンザ  :袋に入れて馬で……それか、馬車?

ロベール :手に入れた大金はどうする?

タンザ  :……遠くで使う? ……いや、それでも怪しいな……。

ロベール :生き残りがいないのはどう説明する?

タンザ  :……夜、寝静まった間に……。

ロベール :囲んだ全員、夜目が利くわけがない。物音を立てて逃げられたらどうする?

タンザ  :でも……昼だと、ちょっと外に出かけてる奴がいるかもしれないだろう。

ロベール :そうだとすると生き残りが出るはずだから、夜に襲ったと?

タンザ  :そうだ。

ロベール :犯人は、この前捕縛した山賊のような奴……だと思っているだろう?

タンザ  :違うっていうのか!?

ロベール :商人だよ。隊商に偽装してる。

タンザ  :……なっ!!?

ロベール :全ての条件をクリアするには、それしかないんだ。
      そして、この話を敵に気付かれたら、逃げられる。
      ……今の、絶対に誰にも話すなよ。

タンザ  :……あ、ああ……。





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