野球じゃん! どう?








G   M:さて、いつの間に入れたのかは知りませんが、
      箱の中からは下位古代語のメモが見つかります。

レイディア:読むわ。

G   M:『館の地下に第12エリアへのゲートが稼動している。
      私と同じような境遇の者がいると思うので、手を貸してやってほしい。』
      というメモです。

レイディア:家捜しは昨日やったけど、そんなもんなかったわよね?

トゥエリ :地下には行ってないデスよ。

カトレア :最近のメモですか?

G   M:最近書かれたもののようです。
      おそらく、ラウンドの途中に戻ってきたときに入れられたのでしょう。

レイディア:お宝のにおいね。行くわよ。

マリア  :よし、行くぞ。

フィーエル:あう。行こう。

カトレア :僕は特に用事はないですけど。

ディース :俺は行くぜ。

レイディア:またゴーストがいるかもしれないわよ。

カトレア :なら、僕も行きましょうかねー。

フアナ  :……鍵……まだ冒険中に機械仕掛けの鍵、開けてない……。行く。

トゥエリ :仕方が無いのでついていきましょうかネ。

G   M:では、地下のゲートに入りますね?

レイディア:入るわ。

G   M:皆さんは一瞬の浮遊感に包まれ、気がつくと別の建物の中にいます。
      背後のゲートも稼動していますね。特に何もない部屋です。他に扉が1つ。
      別の部屋に通じる窓はあったようですが、今は塞がれています。

フアナ  :……罠発見(ころころ)14。……聞き耳(ころころ)17。

G   M:何もないです。鍵もないようです。開けますか?

レイディア:ディース、お願い。

ディース :開けるぜ。

G   M:通路です。真っ直ぐですね。突き当たりに扉が見えます。

フアナ  :……通路に罠発見(ころころ)12。

G   M:わかりません。

レイディア:ディース、進んで。

ディース :12は怖くね? 進むけど。

G   M:問題なく、扉の手前まで来ました。

フアナ  :……通路は一回調べたから、これ以上は無駄……。
      扉に罠発見……(ころころ)11しかない……。

G   M:聞き耳しますか?

フアナ  :……する。(ころころ)……11しかない。

G   M:それは聞こえません。鍵はありません。

ディース :俺が開けるから心配すんな。開けるぜ。

G   M:扉を開けました。目の前には上り階段があります。
      空が見えることから、階段を上ると屋外のようです。
      当然ですが、まだ昼ですね。

フアナ  :……階段に罠発見(ころころ)16。

G   M:何もないです。

フアナ  :……自分で進む。

G   M:階段を上り切ると、そこは闘技場の客席のような空間でした。
      話に聞く、ロマールの闘技場と酷似した構造ですね。
      下にある剣闘士が戦う筈のスペースには、芝生やら土やらが色々とあります。
      土の部分には、一定間隔で白い石のようなものが埋められているようです。

レイディア:何これ。闘技場?

G   M:下のスペースには骨が数体。
      いびつな形のスタッフを持っているのがいたり、
      皮製の変な手袋をつけてるのがいたり。
      あとは、壁が少しへこんだ場所に作られた席に、透明な人型の影がいます。
      全員セージチェックを。






骨の正体はスケルトンでした。カトレアとディース(1ゾロ)が失敗。
人型の影はファントムでした。フアナとマリアのみ成功します。






ディース :弱そうなスケルトン・ウォリアーだな。←スケルトンを知らないソーサラー

カトレア :まったくです。 ←同じく

G   M:ファントムはこちらに気付いたようです。
      くたびれた老人のファントムですね。

フアナ  :……おじいちゃん……。

ファントム:おーい、助けてくれー。

ディース :おい、いきなり援助要請来たぞ。くししし。

ファントム:まずはこっちにきて、話を聞いてくれんかのー。

フィーエル:困ってる。助けよう。

レイディア:(襟首を掴みながら)待ちなさい。

マリア  :話だけでも聞いてやらぬか? 我らの能力であれば、まず憑依はされぬぞ。

フアナ  :……うん……。

レイディア:仕方ないわね。どうやったら降りられるのー?

ファントム:右の突き当たりに階段があるんじゃ。今ゲートを開けさせるからの。

ディース :レクイエムか?

レイディア:待って。まずは話を聞きましょう。

G   M:では、ファントムの前に来ます。古代王国人のファントムのようですね。

ファントム:よく来てくれた。まずは話を聞いてくれ。
      隣のエリアのレイスがひどいんじゃ。

G   M:全員、セージチェックをどうぞ。(レイス・フォームは遺失呪文なので。)
      レイディア、カトレア、マリアが成功ですね。

レイディア:失われた古代語魔法で精神体になったモンスターね。
      冒険者と遭遇するような奴は、大抵元の体に帰れなくなってるわ。
      物理攻撃は無効だけど、太陽の光に当たれば消滅するわ。

ファントム:今気付いたが、お主ら、蛮族か。

レイディア:全員魔法は使えるっすよ。

マリア  :太守ハルシュタットが第一子、マリアンヌじゃ。

ファントム:ハルシュタット……知らんのう。

マリア  :失礼なじじいじゃのう。

ファントム:わしが知らんということは、西か? 本土の西の方のことは疎いからのう。

マリア  :ここがエリア12じゃとすると、確かに西じゃが。

レイディア:で、レイスは、どういう風にひどいの?

ファントム:夜になるとここに乗り込んできて、こちらの人数が足りないのに乗じて、
      9対0でこちらが負けたと一方的に宣告して、
      散々罵倒した挙句去っていくのじゃ。それがもう100年以上も……。

マリア  :(小声で)……ぬしの気持ち、分からぬでもないぞ。

ディース :100年もあったら、根性で勝てねー?

ファントム:人数が足りんと、自動的に負けになるんじゃ。

ディース :魔法でサーバント作れねーのか?

ファントム:ファントムに成り果てたわしには、魔法は使えん。

トゥエリ :人数が足りないと宣言で負け……何かの競技デスかね。

カトレア :復讐したいとは思いませんか。

ファントム:復讐……したいとも!

カトレア :素晴らしい! 微力ながら、力をお貸ししましょう!

ファントム:わしは物が持てんから人数には入らん。スケルトンは残り4体。
      あと最低5人必要じゃ。

カトレア :僕が参加しましょう。

フアナ  :(小声で)……ばっくれんなよ……。

マリア  :我もじゃ。共に無念を晴らそうぞ。

レイディア:悪いけど、こっちも仕事だからね。報酬は?

ファントム:わしの秘蔵の事典をやろう。そこの椅子の下にある。開けてよいぞ。

レイディア:開けてみるわ。フアナ、いい?

マリア  :面倒じゃ。我が開けるぞ。

フアナ  :……あっ……。

G   M:百貨事典が出てきます。広■苑並みの大きさですね。鑑定しますか?

レイディア:もちろんよ。

G   M:(ころころ)鑑定は全員失敗します。

ファントム:最初のページを開くんじゃよ。

レイディア:開くわ。

G   M:説明が事細かに書いてあります。この事典の使用法のようです。読みますか?

レイディア:読むわ。






名称:アドバタイズ・パワーズ
宝物鑑定の目標値:20/巻頭を読めば0(ただし、下位古代語の読解能力は必要)
魔力付与者:「魔神使い」ワンファ
形状:百科事典
使用方法が巻頭に記載されている百科事典です。
遠い昔のある一定時点でのあらゆる事象を記載していると思われ、
記載内容は多岐に渡ります。また、最近の人物・事象等についても記載がみられるため、
現代でも何者かが加筆、修正しているのではないかという説が有力です。
ちなみに、事典のページ数を数えても、なぜか数え終わることはありません。
事典の能力として、必要とされているページが開きやすいため、
事典を引ける状況下であれば、セージ技能を使った判定に+3されます。
また、この辞書はあくまで百科事典ですが、武器として使用できます。
手で掴むページの厚さにより、必要筋力を6から24の範囲で調整できます。
また、この百科事典は、武器として使用できます。
面で殴ればクリティカルが起こらず、手加減可能。
辺で殴ればクリティカルが起こらず、手加減不能。
角で殴ればクリティカルが起こりえ、手加減は不能です。
いずれの場合でも、武器として使えば、
攻撃力と追加ボーナスに+2のダメージがあります。
また、この本を敵に向かって開けば、
敵にとって不利益な内容がこれでもかと記載されたページが開かれます。
このとき、本の使用者は決して中身を見ることができません。
この行動は魔法強度17(魔力10)の精神攻撃として扱い、
精神力に与えるダメージは打撃力10+追加ダメージ5です。
ただし、対象の知能が「低い」以上で、かつ、
最低でも1種類の文字が読めなければ効力はありません。
なお、対象が内容を故意に読まないようにする場合、
内容が直接精神力にダメージを与えることはありません。この効果は魔法的なもので、
使用者以外は本のページの方向を見て内容を知ることを望むことにより、
その内容を知ることができます(最低でも1種類の文字が読めることが必要ですが)。
また、本の背表紙を掴むことにより、魔法の発動体として使用可能です。ただし、
振り回すには重いので、発動体としての行使には最低でも20の筋力を必要とします。
取引価格:77万5千ガメル






フィーエル:な、ななじゅうななまん……。

ディース :お、おい……フィーエルが金額で驚いてるぞ……。

レイディア:とてつもない品ね。

トゥエリ :恐ろしいデスね。

フアナ  :……基準値上がったから……この前失敗した鎧を、調べる……。

G   M:(ころころ)出目10。あっさり成功です。

フアナ  :シャイニング・シーズンか……わたしがもらっていい?

レイディア:生命力が低いフアナが最適ね。

フアナ  :……じゃあ、上で着替えてくる。……わたしも参加の方向で。

フィーエル:あう。ぼくも、参加。

ディース :フィーエルがレイディアの前に参加表明とは、珍しいな。

フィーエル:これ、いい品物!

トゥエリ :私も参加しますヨ。

ディース :お前も珍しいな。レイディアの許可はもらわねーのか?

トゥエリ :レイディアさんが参加しないなら、撤回しますからネ。

ディース :お前には自分の意見とかはねーのか!?

トゥエリ :ないこともないデスが。

レイディア:もちろん参加よ。

ディース :さっきと態度がえらく違うな。

フアナ  :……覚えておくといい……女の子の物欲は、全てを凌駕する……。

ディース :びっくりした! 着替えるのはえーな。

フアナ  :……ギルティアが、いるから……。

トゥエリ :見張りは万全ということデスか。

G   M:これで、7人とも参加することになりました。

ファントム:このバットと呼ばれる棒で、ボールを打つ競技じゃ。

ディース :おおっ、これは……!

フアナ  :……知っているのか……雷電……!?

トゥエリ :ライデン?

ディース :そういや、呪われた島にも、そんな地名あったよな。

レイディア:(無視して)で、なんなの?

ディース :ちょっとは知ってるぜ。ベースボールっていうんだ。

レイディア:へぇ。これは思わぬ戦力ね。

ディース :打席に立ったらな、バットを持って、スタンドを指すんだ。こうやって。

フィーエル:あう。こう?

ディース :そうだ。あくまでも爽やかに、かっこよく決めるんだぞ。

ファントム:嘘を教えるな。

レイディア:え、嘘なんすか?

ファントム:大嘘じゃ。

フアナ  :……だってさ。

ディース :俺が聞いたサーガでは、そうやってたんだって!

フアナ  :……おじいちゃん……名前は?

ファントム:ワシか? ワシの名はヴァリーだ。監督と呼んでくれ。

レイディア:敵は今日の夜も来るのね。監督、勝つためには何をすればいいの?

ヴァリー :まずはその事典でルールを調べて覚えてくれ。
      調べ物が苦手な者は大体でよい。
      攻撃時は打って走る、守備時は投げて守るのが基本じゃ。
      あとは練習あるのみじゃ。ノックから行くぞ。






結局、一行はルールを調べた後、守備位置に就き、
監督が指示するスケルトンが打つ打球を処理します。
守備位置を交代しながら繰り返し、全員が一通りの動きを覚えました。
続いて、投球と打撃の練習に移ります。
ピッチングの適性は、筋力50の腕から剛速球を放つマリアがダントツで高い模様。
その他に、際どいコースに投げられるフアナもいます。
その後、外野を減らして紅白戦形式で模擬試合を行い、試合の感覚をつかみます。
急ごしらえではありますが、監督の指導力の成果で、
全員が1レベルのベースボーラー技能を取得しました。
なお、スケルトンたちのベースボーラー技能は既に3レベル。
さすがに一日の長があるようです。






G   M:夜になります。
      遠くからよくわからない生物の遠吠えが聞こえてくるわけですが。

レイディア:監督、敵に変な生物いないっすよね!?

ヴァリー :おらん。安心せい。

フアナ  :(ほんとに? このおじいちゃん、大丈夫かな?)

G   M:練習を続けますか?

レイディア:監督。練習は続けた方がいいっすか?

ヴァリー :いや、もうすぐ試合だ。全員休んでくれ。

フアナ  :……了解。

G   M:しばらく休んでいると、大きなストーン・サーバントたちが、
      向こう側のベンチから出てきますね。スケルトン・ウォリアーもいます。
      石が5体。骨が3体です。

レイディア:まあ、敵の面子は大体読んでたけどね。

G   M:あと、何かでっかいのが1匹いますね。セージチェックを。
      (ころころ)オーガーですね。

フアナ  :……聞いてないよー……。

ヴァリー :奴は、優秀な選手を見つけては、ギアスで無理矢理チームに加えておる。
      ただ、奴が鍛え上げた石の従者以上に優秀なのはなかなかおらんだろうが。

マリア  :ギアスか。それは許せぬのう。

カトレア :復讐の代行も考えないといけませんね。

ディース :へっ。助っ人外国人ってやつか。

G   M:そして、最後にレイスが現れます。

レイス  :ふぉっふぉっふぉっ。また人数が足りんのかー?
      これで記念すべき10万勝目もいただきじゃのう。
      ああ、弱い弱い。弱すぎて話にならぬ。
      弱すぎて人数も揃わず、また9対0でわしの勝ちじゃ。
      さては、わしのチームが強すぎるからといって、人数を盾に逃げておるな?
      見下げ果てた奴らじゃ。早く帰るぞ。腐った根性が伝染するわー!

ヴァリー :待て! 人数は足りておるぞ!

レイス  :何ぃ!?

ヴァリー :頭数すら足りずくすぶる我が魂の前に、熱き戦友たちが舞い降りた!
      連敗も今日までじゃ。この者たちが我が無念を今こそ晴らしてくれる!

レイス  :蛮族に蛮族に蛮族に……1人同胞がおるな。
      援軍を呼ぶとは卑怯なり。そのような相手とは試合はできぬ。

フアナ  :ズコー。 ←こけたらしい

ヴァリー :ほう。負けるのが怖いか?

レイス  :言うたの。わしの鍛え上げたチームの力、見せてくれるわ!

トゥエリ :(向こうもたいがい単純デスね……。)






かくして、レイスのチームとの間で試合を行うこととなりました。
なお、5回の表裏が終わった時点で、試合終了となります。






ディース :よし、円陣組むぞー!

トゥエリ :またディースさんが。

レイディア:一応念のため……監督、これも嘘っすか?

ヴァリー :確かに、そういうこともあるな。ルールにはないが、嘘でもない。

ディース :よし、組むぞ。

フアナ  :……変な場所……触らないで……。

トゥエリ :さっ、触ってないデスって!

フアナ  :……うそぴょーん……。

トゥエリ :勘弁してくださいヨ……。

レイディア:で、この姿勢で何するわけ?

フィーエル:あうー。骨が。

カトレア :骨は円陣に加えなくてもよかったんじゃないですか?

ヴァリー :彼らも、長年共に頑張ってくれたチームメイトじゃ。

マリア  :うむ。我らは仲間じゃ。

カトレア :んー。復讐のための同志というわけですね。

フアナ  :……ここから、何をするの?

ディース :各自抱負を述べて、最後におー……だっけ?

レイディア:記憶が不確かなら、最初からやるなよ。

ディース :とにかく、マリアから順番だ。

マリア  :ヴァリーの無念を晴らしてやろうぞ!

カトレア :復讐を完遂させるのです!

フィーエル:あう。がんばる。

ディース :俺の活躍で、絶対勝ーつ!

トゥエリ :足を引っ張らないように努力しますヨ。

フアナ  :……飽きるまで、楽しむ……。

骨たち  :……。

レイディア:勝って77万ゲットするわよ!

一同   :おー!!

ヴァリー :まとまっているのかどうかわからぬ集団じゃの。





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